第38話:トキメキ文化祭

文字数 735文字

「お・・・怒ってないですか?」

西森にそう聞かれ、
「え?なんで?」
と返した。

恐らく、水野君とのことだろう、と思ったのだが、確信は無い。

すると西森は、
「そ・・・その・・・
お化け屋敷の中で、ビックリして水野に抱きついてしまったので・・・」
とゴニョゴニョと言った。

やっぱり・・・
あのことを気にしていたんだな。

おれは西森の髪をなでながら、
「怒ってないよ」
と答えた。

西森は急に顔を上げ、
「う、うそ!
だって、一緒にジュース飲みに行くはずだったのに、急用が出来たからって、急に私と水野だけ残して仕事に行っちゃったから・・・
私・・・私・・・
絶対、先生を怒らせたと思ってたんです・・・」
と今にも泣きそうな顔で訴えてきた。

まさか西森をそんなに心配させていたとは・・・

愛しい気持ちがさらにあふれてきて、西森を再びギュッと強く抱きしめた。

「ほんと、怒ってないから・・・
ただ・・・」

「ただ?」

「嫉妬はした。
カッコ悪いぐらいに」

本当は、もっと余裕のある大人のフリをしようかと思ったが、ガマン出来なくて、素直な気持ちが出てしまう。

「もちろん、事故だって分かってた。
でも、西森はおれの彼女なのに、周りの人達も西森と水野君が付き合ってるって勘違いしてて、それがすっごく腹が立って。
『先生』の立場じゃなかったら、あの場で絶対『西森はおれの彼女だ!』って叫んでたと思う」

そして再びギュッと西森を抱きしめ、
「ごめん、大人のくせに、余裕なくて・・・」
と謝った。

すると西森もおれの背中に回している腕に力を入れ、
「私の方こそ、ごめんなさい・・・
もう二度と水野に抱きついたりしませんから・・・」
と言ったので、おれはうなずき、
「うん、絶対水野君には渡さないから」
と言った。

そして、2人で顔を見合わすと『クスッ』と微笑んだ。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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