第26話:教育実習生にメラメラ(その26)

文字数 612文字

「え?倒れた?」

私はその時の状況を必死に思い出した。

そうだ、確か、先生と西森先生が話をしているのを聞いていると、急に胃がキリキリして気分が悪くなったんだ・・・。

でも、そこからの記憶が飛んでいる。

「保健の先生によると、たぶん寝不足と疲労が重なって倒れたのじゃないかって。
でも、もし今も調子が悪いんだったら病院に行った方がいいって言ってたけど、気分はどうだ?」

先生にそう聞かれ、
「あ・・・気分は大丈夫です。
たぶん昨日あまり寝られなかったから・・・」
と答えながら、ふと気づいた。

ここは保健室のベッド?

しかも、先生がずっとそばにいたわけ?

ベッドのカーテンを閉めて外からは見えない状況になっているけれど、もしこんな状況を誰かに見られたら、かなり問題になるんじゃないの?

「え、あの、先生・・・
こんなとこにいて、大丈夫なんですか?」

私は不安になって、辺りをキョロキョロと見回してしまった。

隣のベッドに他の生徒が寝ているんじゃないの?、とか、保健の先生がすぐそばにいるんじゃないの?、とか、不安ごとがたくさんありすぎて、また頭の中がパニックを起こしている。

でも、先生は冷静に、
「もう放課後で、保健の吉井先生が急ぎの用があるって言ったから、おれが入れ替わりで来たんだ。」
と言うと、保健室の鍵をポケットからジャラっと取り出し、
「今、誰もいないし、鍵もかけておいたから大丈夫だ」
と答えた。

大丈夫?

いやいや、大丈夫じゃないでしょ!?
今のこの状況!!

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み