第2話:二人きりの夜(その2)

文字数 586文字

おれも西森も雨でビショ濡れ状態だったので、お風呂に入れるのはほんとありがたい。

洋服も泥だらけで汚れていたので、浴衣に着替えられるのもありがたい。

なので、おれはさっそく、
「じゃ、西森。
お風呂後は、そこの休憩スペースで待ってるから、出たらまた声をかけてくれ。」
と言って男湯に入ろうとした。

すると、西森が「ギュッ」とおれのシャツの裾をつかんだ。

「え?」

驚いて振り返ると、
「先生」
と、西森がおれを呼び止めた。

「ん?どうした?」

声が小さかったので、聞き取ろうと近づくと、西森が、
「本当に何もしません?」
と、真っ赤な顔で聞いてきた。

「えっ!?」

どういうことだ?

さっき「一緒に泊まる」話になった時、全く動揺もせず冷静だった西森が、急に態度を一変させ、緊張の面持ちを見せるとは!?

やばい、おれまでドキドキしてきた!

「な、何もしないつもりだけど・・・どうかした?」

冷静に聞いてみたけど、心の中はもはや冷静さのカケラも無く、心臓が最高潮にドキドキ音を立てている。

西森は、うつむいたまま、
「その・・・さっきは、雨に濡れて寒くて疲れていたので、もうどうでもいいや、という気持ちになっていていたんです。
『一緒に泊ってもいい』みたいな返事をしたのですが、冷静になって考えてみると、なんかドキドキしちゃって・・・。」
と言った。

そして再び、
「大丈夫ですよね?」
と聞いてきた。

うん・・・たぶん大丈夫・・・。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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