第26話:トキメキ文化祭

文字数 809文字

変な流れで、おれと西森と水野君の3人で文化祭を見て回ることになった。

西森は水野君に、
「水野は何を見たいの?」
と聞くと、水野君は、
「そうだなぁ・・・
とりあえずノドが乾いたから、何か飲みたいかも」
と答える。

西森は文化祭のパンフレットを見ながら、
「飲み物・・・
先生、どこか良い場所あります?」
と突然話しかけてきたので、おれは「えっ」と驚いてしまった。

さっきすごくイヤな顔をしていたので、怒っているのかと思ったけど、どうやらそうでもないようだ。

おれは頭の奥の記憶をよみがえらせる。

「そういえば1年3組の子達が、2階でジュース屋さんをやるとか言ってたな」

そう答えると水野君が、
「じゃあ、そこに行きましょう」
と言ったので、その店に向かうことにした。

校舎内はどこもかしこも文化祭の飾りで覆われ、歩いていると自然にワクワクした気持ちになってくる。

今は『先生』という立場だが、この瞬間だけ『学生時代』に戻ったような気がして、人目が無ければ西森と手をつないで文化祭を回りたい気持ちだ。

そんな浮かれ気分を封印しつつ、廊下を歩いていると、
「高山先生、その格好、どうしたの?」
と、地学の授業を受け持っている生徒から声をかけられた。

すると、他の生徒達からも
「執事カフェやるって聞いてたけど、先生まで執事になっちゃったの?」
「おもしろ~い!
後で一緒に写真撮ってよ♪」
と、どんどん声をかけられる。

気づけばおれの周りには、たくさんの生徒達が面白がって群がっている状態に。

「ハイハイ、今忙しいから、また後でな」
と言うと、生徒達から、
「じゃあ、ヒマになったらうちのクラスの出し物に来てね。
お祭りの縁日やってるの。」
「おれのところは、巨大迷路やってるんだ。
めっちゃ楽しいから来てくれよな」
と、文化祭の出し物のお誘いを受けた。

その光景を見ていた水野君が、
「先生、やっぱり人気者だなぁ。
生徒達からあんなに声かけられるなんて、すごく慕われているんですね」
と言った。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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