第9話:風邪をひいた日の話(その16)

文字数 648文字

「ん・・・」

目を開けると、外はうっすら明るくなっていた。

どうやら朝のようだ。

「もう朝か・・・」

薬が効いたのか、ぐっすり眠っていたようで、体調も昨日の夜ほど悪くはない。

枕元のスマホに手を伸ばし時計を見ると、朝の6時半のようだ。

おれは布団にもぐりながら、
「今日は、のんびり寝て過ごそう・・・」
と思い、再び目を閉じた。

それから、どれぐらい寝ていたのだろうか。

次に目が覚めたのは、スマホから鳴る「ピピピ!」という音に気付いた時だった。

「んんん・・・なんだ・・・?」

手を伸ばしてスマホを取り、画面を見てみると、夏菜からのメールが届いているではないか!?

「え!?夏菜!?」

思わずガバッと起き上がり、あわててメールを開く。

すると、
『先生、大丈夫ですか?
もし、しんどくて一人で何も出来なかったら、呼んでください。
午後からだったら、お見舞いに行けますから』
とメッセージが。

おれはメールの文字を見つめながら、
「え・・・呼んだら来てくれるの・・・?」
と、急に心臓がドキドキし始めた。

思わず、額に手をあてて熱を測る。

昨日に比べたら、全然熱くない。

薬が効いたのか、熱も下がったみたいで、しんどさも寒気も無く、いつも通りの体調に戻っている。

といっても今は寝ていた状態なので、起き上がって行動をし始めたら、またしんどくなるかもしれないが、今のところは調子は良いみたいだ。

でも『元気になった』と言えば、夏菜は来てくれないかもしれない。

ここはあえて『まだ少し体調が悪い』と言って、夏菜に来てもらうというのは有りなのだろうか・・・?

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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