第10話:クリスマス・デート(その8)

文字数 786文字

涼介に『彼女から?』と聞かれ、思わず、
「は、はいっ!?」
と動揺した声を上げてしまった。

挙動不審なおれの態度が面白いのか、涼介は笑いながら、
「ほんと、おまえ変わったよな~。
大学時代は、いろんな女の子と付き合っていても、おれの前では動揺することなくポーカーフェイスだったのに、なんで西森ちゃんのことになると、なんでそんなに変なの?」
と言う。

うっ・・・。
本人はそう思っていなかったけど、他の人から見るとやっぱり『変』に見えるようだ・・・。

何も言い返せずモジモジしていると、涼介は、
「トイレ行ってくるから、メールの返事でもしてあげたら?」
と言って席を立ったので、
「あ、うん」
とあわててメールを開ける。

西森からは、
『塾の試験で良い成績とれました。これなら、クリスマスは1日遊んでも大丈夫だと思いますので、楽しみにしています』
という連絡が。

その文章を見た瞬間、
「か、かわいすぎるだろ!!」
と思わず声が出てしまい、机に突っ伏せてしまった。

こんなにクリスマスのことを楽しみにしてくれているなんて!

勉強をがんばった西森のためにも、絶対に素敵なクリスマスをプレゼントしなければ、彼氏として失格になってしまう!

幸せに悶絶している姿を、戻ってきた涼介が目撃していたようで、
「相変わらず幸せそうだな。
幸せが『ダダ漏れ』してるぞ」
と言いながら席に座った。

うっ、やっぱり『幸せ』があふれ出ていたか。
まぁ『悲しみ』とか『悔しさ』とかがあふれ出ているよりは、良いだろう。

涼介は席に着くや否や、
「で、どうなの?
西森ちゃんとはどこまで進んだの?」
と、遠慮なく聞いてきたので、
「はい!?」
と再び動揺して、声が裏返ってしまう。

そんなおれの様子を見た涼介は、目をパチクリしながら、
「お・・・おまえ、まさか・・・
もう、行きつくところまで、行っちゃったんじゃないだろうな?
未成年相手に・・・」
と不安そうな顔で聞いてきた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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