第8話:二人きりの夜(その8)

文字数 681文字

「先生とこうやって二人でお話しできる時間はできましたね」

西森にそう言われ、思わず、
「えっ!?」
と言ってしまった。

だって、驚いてしまうでしょう、こんなの!!

西森から「二人きりで話をしたかった」なんて言われたら!

でも、一体どういう意味で「二人きりになりたい」と言っているのかは不明なので、
「話って、星の話のこと?」
と無難な質問を投げかけてしまった。

すると西森は一瞬ポカンとしたような顔をしたが、
「そ、そうですね。
別荘での天体観測の授業、あまり先生から聞けなかったので・・・」
と答えたので、『やっぱりそっち系の話だったか』と納得した。

そうだよな、西森が『恋人同士』がするような甘い会話を求めているわけないじゃないか。

やはり確認してよかった。

一人アホみたいに舞い上がっていたら、恥ずかしすぎただろう。

なのでホッとしながら、
「いいよ、何でも聞いて。
他の教科だったら、たぶん西森の方がおれより詳しいと思うけど、星に関することだったら、大丈夫だと思うから。」
と言ってソファに座ると、西森もおれの隣にチョコンと座る。

しかも、おれとの距離が20㎝ぐらいの場所に座ってきたので、思わずドキッとした。

ええっ!?
何なの!?

「何もしないように」と命令してきているくせに、なんでこんな手を伸ばせば届くぐらいの距離で座るの!?

もう少し離れたところにも別のソファがあるから、そっちに座ればいいのに、なんでこんな近くに!!

こ・・・これは、何か試されているのだろうか・・・。

と一人悶々としていると、
「星の話も聞きたいんですけど・・・
その・・・別のことも相談したくて・・・」
と西森が小さな声で言った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み