第10話:クリスマス・デート(その17)

文字数 736文字

クリスマスプレゼントを抱え、帰宅したおれは、
「は~、つかれた・・・」
とつぶやきながら、ベッドにゴロッと倒れこんだ。

しばらくボーっと天井を見ていたが、テーブルに目を向けると、そこには西森のために買った『図鑑』と『コンパクト』のプレゼントが。

どちらもかわいくラッピングされ、あとは「渡すのみ」という状態だ。

でも、西森にはクリスマスに予定が入ってしまった。

おれは大きくため息をつきながら、
「学生だから、仕方ないよな。
付き合ってもらってるだけでも『奇跡』なのに、その上『クリスマス一緒にいたいから塾を休んで』なんて、おれは絶対言えない」
と独り言を言った。

気持ちを切り替えねば。

全く会えないわけじゃない。

ただ、一緒にいる時間が短くなっただけの話だ。

昼から会えるのだったら、イルミネーションを見に行こうかと思っていたけど、それは出来なくなったから、家でケーキ食べて、プレゼント交換するだけの計画に切り替えよう。

「よし、よし!
楽しいクリスマスにするぞ!」

ベッドから身を起こし、買い物品が入ったエコバックをガサゴソとあさる。

「やっぱり、クリスマスといえば、これだよな」

そう言って取り出したものは、クリスマスツリーだ。

買う気は無かったけど、プレゼント探しの時に、やたらとツリーが目についたので思わず衝動買いをしてしまったのだ。

30センチぐらいの箱に入っていて、そんなに大きなものでもないけど、これがあれば一気にクリスマスの雰囲気が部屋に漂うに違いない。

テーブルの真ん中にツリーを置きながら、
「さて、クリスマスパーティーの計画でも練り直すか」
とつぶやいた。

そんなふうに『ささやかなクリスマスパーティー』を考えていたのだが、これが予想外の展開に発展するとは、この時のおれは全く知る由もなかった。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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