第41話:トキメキ文化祭

文字数 585文字

西森が帰った後、おれは学校内を見回り、玄関付近までやって来た。

後夜祭はまだ続いているようで、体育館からは生徒達の楽しそうな声が聞こえる。

『いいな、青春していて』と思ってしまった。

そんなことを考えながら、玄関を見回っていると、
「先生、お疲れ様でした」
と言って、水野君が突然ヒョコッと現れた。

おれはビックリして、
「え?
水野君、まだいたの?
てっきりもう帰っちゃったのかと思ってたよ」
と言うと、水野君も笑いながら、
「帰ろうと思ったんですけど、先生のクラスの女子に引き留められて、後夜祭の方に行ってました」
と言った。

あ、あああ・・・あいつらか・・・。
水野君のことでキャーキャー騒いでいたからな・・・。

「ゴメン・・・
うちの生徒が迷惑かけて・・・」

生徒に代わって謝ると、水野君は首を横に振りながら、
「いえ、楽しかったですよ。
それに先生にあいさつしてから帰りたかったから、ちょうど良かったです。
さっきまで探してたんですけど、どこにもいなかったら」
と言ったので、おれはドキッとする。

そりゃ探しても見つからないよな。
水野君が探している間、おれは西森と二人きりで隠れて会っていたから。

心の中は穏やかで無かったが、必死に冷静さを装い、
「ごめん、ごめん。
ちょっと会議に呼ばれていたから、姿見えなくて」
と笑いながら言うと、水野君は、
「先生、どうやって西森の気を引いたんですか?」
と、突然聞いてきた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み