第10話:クリスマス・デート(その6)

文字数 735文字

まさかの展開にびっくりして言葉を失っていると、
「キーンコーンカーンコーン」
と予鈴が鳴った。

西森はあわてて立ち上がり、
「あ、授業が始まっちゃう!
じゃあ、私、行きますね!」
と言って、急いでドアに向かう。

ドアを閉める前にこちらに振り返り、
「ま、また連絡します!」
と言って、西森は出て行った。

しばらくポカンとしていたおれだったが、ドアが開き、
「さーて、次の授業に行かなきゃ」
と他の先生たちが戻ってきたので、ハッと我に返る。

そうだ!
おれも次は1年生のクラスの授業だった!

あわてて教科書や資料をつかんで、職員室を出る。

その間も、ずっと心臓はバクバクしていて、頭の中では、
『え?
西森の両親がクリスマスの日に旅行に出かけて不在?
そんな、うまく出来過ぎた話がこの世の中にあるのか?
でも、そのおかげで、いつもよりも長く西森と一緒に過ごせるなんて夢なんじゃないの?』
と『ドキドキ』と『うれしさ』がグルグル回る。

時間を気にせずに職員室を飛び出したせいか、クラスの前に着いたものの、まだ授業開始まで2~3分ほどあった。

仕方ないので、窓の外をボーっと見ていると、ポケットがブルブルと揺れる。

「やべっ!
携帯持ってきたままだった!」

あわてて職員室を出たため、携帯をポケットに入れたままだったようだ。

「誰だよ、こんな時に・・・」

携帯を取り出し、LINEの相手先を見ると『涼介』だった。

「涼介?
え、何?
超久しぶりじゃん」

涼介は大学時代の友人で、夏の合宿で会って以来だ。

その後は特に連絡を取り合って無かったので、急にどうしたのかと思ってしまった。

LINEを開き通知内容を読んでみると、
『流星、久しぶり~♪
今日、仕事の用事でおまえんとこの学校の近くに来てるから、夜に時間があったら飲まない?』
という内容だった。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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