第9話:風邪をひいた日の話(その20)

文字数 639文字

『夏菜が来てくれる』という連絡を受けて、うれしかったのか、ホッとしたのか、気づけばまたしばらく寝ていたようだ。

再び目を覚まし、スマホで時間を確認すると、もうお昼前だった。

「わっ、もう12時前じゃん!
夏菜がもうすぐ来るぞ!?」

あわてて布団から飛び出し、洗面所に向かった。

うん、ゆっくり休んだからか、熱はもう無いみたいだし、体調も昨日と比べるとはるかに良い状態だ。

しかし、洗面所の鏡をのぞくと、髪はボサボサで、かなり悪い状態。

髭もうっすら生えてきているし、この状況で夏菜に会うのは、かなり厳しいぞ・・・。

小汚い状態で夏菜に会うのは嫌なので、とりあえず軽くシャワーを浴びることにした。

***

「はああ~、さっぱりした」

昨日の熱で、かなり汗をかいていたので、シャワーで洗い流してさっぱりした。

上半身裸で、髪をタオルで拭きながら、キッチンに向かう。

ノドが乾いたので、冷蔵庫からお茶を取り出しコップに注いでいると、『ピンポーン』とドアのベルが鳴った。

「えっ、夏菜!?」

うそ!?
もう来ちゃったの!?

時計を見ると、12時過ぎ。

『お昼過ぎぐらいに来る』と言っていたので、やって来てもおかしくはない時間だ。

お茶を注ぐのを止め、あわてて玄関に向かう。

「ハイ!?」
と、ドアを開けると、やっぱり夏菜だった。

夏菜はおれを見るや否や、
「せ、先生!?
な、なんで服着てないんですか!?」
と、ビックリした声を上げた。

「えっ!?」

夏菜にそう指摘され、ハッとする。

そうだった!!
シャワー浴びたばかりで、上半身裸だった!!
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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