第6話:トキメキ文化祭 

文字数 708文字

「ペンを掃除中に失くしたのは、事実です。
でも、それを利用して、先生と久しぶりに二人でしゃべりたかったのも事実です・・・」

西森からのかわいすぎる告白に、
『おれは、こんなに幸せ過ぎていいんだろうか?』
と思ってしまった。

う・・・うれしすぎる!

ここが学校でなければ、間違いなく西森をギュッと抱きしめていたのに!

でも学校なので、握った手をギュッと握り返し、
「うん、おれもずっと話がしたかった」
と言って、ニコッとほほ笑んだ。

でも、いざとなると何の話をすればいいのか分からなくなって、2人黙って見つめ合っていたのだが、西森が急にスクッと立ち上がると、

「で、でも、仕事しなくちゃダメですよね!
文化祭のこと決めないと」
と言ったので、おれも文化祭のことを思い出し、
「そうだな。
『何も決まりませんでした』じゃ、何してたんだって怒られるだろうし」
と言って立ち上がった。

おれは実験室をグルッと見渡し、
「ここで打ち合わせしてもいいけど、さすがに二人きりでいると怪しまれるかもしれないから、職員室に行こうか?」
と言うと、西森も『ハイ』とうなずいた。

ふう・・・、
本当はずっとこのまま二人きりで過ごしたかったけど、誰かに目撃されて、あらぬウワサが流されたら、西森にも迷惑をかけることになるからなぁ・・・。

ここは、注意を払わなくては。

西森は床を見回し、
「じゃあ、失くしたペンを探しますね。
どこに落としたのかな・・・」
と言って、ペンを探し始めた。

するとすぐに、
「あ、ありました!
やっぱりここで落としていたみたいです」
と、うれしそうにペンを拾って見せた。

「よかったな。
じゃ、職員室に行こうか」

「はい」

おれと西森は実験室を出ると、職員室に向かって歩き始めた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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