第10話:クリスマス・デート(その18)

文字数 691文字

そしてとうとうやってきた12月24日。

朝、西森から、
『塾、行ってきます。
終わったら、すぐに連絡します』
とメールが送られてきた。

塾は17時ぐらいに終わる、と言っていたので、休日出勤をし、残っていた仕事をやっつけることにした。

家に居てもヒマだし、西森のことばかり考えそうなので、仕事でもしていた方がマシだからだ。

学校に着いて職員室に向かうと、山根先生も出勤していた。

山根先生はおれの顔を見るや否や、
「あれ?
クリスマスなのに、仕事するの?」
と聞いてきたので、
「はい・・・いろいろありまして・・・」
と、あいまいな返答をする。

山根先生も、なんとなく事情を察してくれたみたいで、
「ま、そういうこともあるよな」
と言って、それ以上は詮索してこなかった。

午前中で山根先生は帰宅し、昼からはおれ一人で職員室で仕事をしていたが、気になってついつい時計を見てしまう。

まだ14時・・・

まだ15時・・・

やっと16時・・・

そろそろ塾は終わるのだろうか?

もし延長とかなれば、完全に今日のクリスマスはほとんど何も出来ずに終わってしまう・・・。

だんだん焦りを感じ始めた時、ついに西森から電話がかかってきた。

「もしもし!西森!?」

あわてて電話に出ると、西森がうれしそうな声で、
「先生、やっと塾が終わりました。
今から家に向かいますね」
と言ったので、おれは、
「いや、そこで待ってて!
今すぐ車で迎えに行くから!
今学校に来てるんだけど、ここからだったら10分もかからないし、この前みたいに地下の駐車場で待ってて!」
と伝える。

本当は10分以上かかりそうな気もしたが、今すぐ会いたい気持ちが勝って、おれはあわてて職員室を飛び出した。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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