第8話:先生のお誕生日(その13)

文字数 747文字

先生は、ものすごくホッとしたような声で、
「よかった・・・。
本当に一緒に過ごしてもらえるなんて、うれしすぎて、泣きそうだ」
と言うので、私は『そこまで?』と思ってしまったけど、一緒にうれしくなってくる。

と同時に『誕生日会の場所の相談』のことを思い出した。

すると先生が、
「場所だけど、どうする?
どこかデートにでも行けたらいいけど、土曜はどこも混雑しているからなぁ」
と言ったので、思わず、
「せ、先生の家じゃダメですか?」
と言ってしまった。

「えっ!?」

先生の驚いた声が聞こえたので、
『しまった!やっぱり、言うべきじゃなかったかも』
と後悔して、
「す、すいません!
やっぱりご迷惑ですよね!!
良い場所が思い浮かばなかったから・・・」
とあわてて訂正しようとしたけど、先生は、
「いや、全然!
むしろ、大歓迎!
それまでちゃんと掃除しておくから、ぜひぜひ来て!」
と、電話越しにうれしそうに言う。

その声を聞いて、私はホッと胸をなでおろした。

よかった・・・
変な提案をして、先生に呆れられたかと思ったけど、大丈夫でよかった・・・

先生は、
「あ、西森は手ぶらで来てくれていいよ。
食べ物はおれの方で用意するし。
高校生に無理な出費をさせるわけにもいかないから」
と言ったので、私はあわてて、
「え、でもせっかくの先生の誕生日なのに、先生に全部準備させるなんて、悪いですよ。
ケーキぐらいは買っていきますし」
と言ってみたけど、私のお小遣いでケーキを買うとしたら、ホールでは無くてカットしたものになってしまうかも・・・。

ううっ、それもなんか気の毒・・・

と思っていると、先生が、
「いや、ほんとに手ぶらでいいから!
西森が来てくれること自体が、最高の『誕生日プレゼント』だから!」
と電話越しに叫んだので、恥ずかして頬がカーッと真っ赤になってしまった。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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