第8話:先生のお誕生日(その26)

文字数 798文字

先生に抱きしめられ、ますます私の心臓はドキドキを増していく。

と同時に、先生の体温を感じ、ホッとするような『安心感』と『幸せ感』が体からあふれ出してきた。

私も先生の背中に腕を回し、ギュッと力をこめた。

「ハイ・・・久しぶりです・・・」

そのまま抱き合ったまま、しばらくお互いの温かさを確かめ合う。

先生の胸の中は、いつも温かくて、安心する場所で、ずっとこのままでいたい、と思ってしまう。

でも、なんでだろう・・・。
『もっと近づきたい』というような欲(?)が出てきはじめた。

今までだったら、先生に抱きしめられるだけで、十分だったのに、なんで急にそんなこと考え始めたんだろう・・・。

世間の恋人たちは、抱き合ったら、次はどうするんだろう・・・。

そんなことを考えていると、先生が私を抱きしめる力を弱めた。

「え?」

ビックリして顔を上げると、先生はニコニコしながら、
「じゃ、誕生会始めよっか♪
少ないけど、食べるモノもいくつか用意したんだ」
と言って、私から離れ、キッチンに向かう。

急に抱きしめるのを止めてしまった先生に、戸惑いを隠せない私。

学校だと、誰かが来る可能性があるから、そんなに長くは抱き合っているわけにはいかない。

でも、今日は先生の部屋で、誰もジャマする人もいないのに、すぐに離れちゃうなんて・・・。

それがダメだというわけじゃないけど、なんか拍子抜けというか、さみしいというか、変な感情が私の中でくすぶる。

と同時に、そんなことを考えている自分が恥ずかしくなってきて、再び頬が真っ赤になってきた。

な、なに考えてるのよ!
今は、先生の誕生会のことに集中しなくちゃ!

気合を入れるために、パンパンと頬を軽く叩いた。

すると先生が振り返り、
「ケーキも買ったし、ピザも取り寄せたし。
夏菜、お昼ご飯まだ食べてない?
一緒に食べよう」
と呼ぶので、私は『変な気持ち』を隠しながら、
「はい、お腹減りました」
と言って、奥の部屋に向かった。

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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