第12話:トキメキ文化祭 

文字数 801文字

「ということで、うちのクラスの文化祭の出し物は『執事カフェ』に決定しました」

パチパチと教室内から拍手が起こる。

文化祭に向けて、数日前に文化祭委員が決定し、クラスの出し物を何にするかの話し合いが行われ、今日その投票が実施された。

劇や和風喫茶、お化け屋敷等々、いろいろな候補が出ていたが、結局『執事カフェ』に決定したようだ。

『執事カフェ』というのが、どのようなものなのかよく分からないが、ようやく前に進み始めたので、とりあえず良かった、良かった。

教室の後ろで様子を見ていたおれは、
「よし、決まってよかったな。あとは、文化祭までの準備の流れと当日の動き等を、また文化祭委員中心に考えるように。
何か分からないこととかあったら、相談してくれていいから」
と声をかけると、クラスの女子が、
「ハイ、提案!」
と手を挙げた。

おれは何の提案かと思い、
「何?
何か良い案でもあるの?」
と聞くと、女子はニコッと笑って、
「高山ちゃんも『執事』として参加してよ」
と言ってきた。

予想外の提案に驚き、
「え!?おれが執事?
いやいや、ちょっと待て!
文化祭は生徒達の行事であるから、先生が参加してどうするんだ!?」
と反対してみたが、他の女子達も加わり、
「えー、別にいいじゃん。
文化祭は先生も楽しむものだし、高山ちゃんの『執事姿』見てみたいしさ。
きっと他のクラスの女子達も見に来ると思うから、集客力がUPすると思うよ」
「執事の衣装は私たちが用意するから心配しないで。
それを着て、教室で立っていてくれるだけでいいから、お願い!」
と、グイグイ圧力をかけてくる。

「いや、でも・・・」
とためらっていると、男子からも、
「いいじゃん、面白そうだし参加してくれよ。
おれ達だけで客が来なかったら、女子達からクレーム言われるかもしれないし、先生いた方が安心だからさ」
と言われ、『おれはどうしたらいいんだ!?』と頭を悩ませている時に、西森とバチッと目が合ってしまう。

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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