第8話:先生のお誕生日(その28)
文字数 731文字
ケーキの上のろうそくに火をつけ、誕生日会の準備が整った。
「先生、お誕生日、おめでとうございます」
私がお祝いの言葉を言うと、先生は照れくさそうに、
「ありがとう」
と言って、ろうそくの火を消した。
火が消えたので、とりあえずパチパチと拍手をしていると、先生は、
「あ~、これでおれもまた1つ年を取ってしまったな・・・。
もう26歳だよ。
どんどん『おじさん』になっていく」
と嘆いたので、
「まだ26歳は若いですよ。
私だって、来年は18歳です」
と言った。
すると先生は、
「確か、夏菜の誕生日は7月だったよな?」
と聞いてきたので、
「え、なんで知っているんですか?
教師用の生徒資料でも見たんですか?」
と聞くと、
「うん。
たまたま資料整理している時に、夏菜の誕生日を見たから知ったの」
と答える。
職権乱用・・・と思ってしまったけど、でも先生が私の誕生日のことを気にかけてくれていたのは、ちょっとうれしい。
先生はケーキを切りながら、
「来年は夏菜は受験生か・・・。
でも、もしお祝い出来るのだったら、ささやかでもいいから、おれは精一杯お祝いしたい」
と言ってくるので、また恥ずかしくなって、頬がちょっと赤くなる。
いつもだったら『何ふざけたこと言っているんですか』と言い返して、ちょっと突き放すんだけど、何か今日はもうちょっと心の距離を縮めたくて、
「お・・・お祝い・・してほしいです・・・」
と言ってしまった。
私があまりにも素直に返事をしたせいか、先生は、
「えっ!?」
と驚いた声を出し、同じく頬を赤く染めながら私を真っ直ぐ見つめる。
『ドキンドキン・・・』
狭い部屋の中、さっきからずっと、高鳴っている心臓の音だけが響いている気がする。
「夏菜・・・」
先生が私の名を呼び、私の手に触れようとソッと手を伸ばした。
「先生、お誕生日、おめでとうございます」
私がお祝いの言葉を言うと、先生は照れくさそうに、
「ありがとう」
と言って、ろうそくの火を消した。
火が消えたので、とりあえずパチパチと拍手をしていると、先生は、
「あ~、これでおれもまた1つ年を取ってしまったな・・・。
もう26歳だよ。
どんどん『おじさん』になっていく」
と嘆いたので、
「まだ26歳は若いですよ。
私だって、来年は18歳です」
と言った。
すると先生は、
「確か、夏菜の誕生日は7月だったよな?」
と聞いてきたので、
「え、なんで知っているんですか?
教師用の生徒資料でも見たんですか?」
と聞くと、
「うん。
たまたま資料整理している時に、夏菜の誕生日を見たから知ったの」
と答える。
職権乱用・・・と思ってしまったけど、でも先生が私の誕生日のことを気にかけてくれていたのは、ちょっとうれしい。
先生はケーキを切りながら、
「来年は夏菜は受験生か・・・。
でも、もしお祝い出来るのだったら、ささやかでもいいから、おれは精一杯お祝いしたい」
と言ってくるので、また恥ずかしくなって、頬がちょっと赤くなる。
いつもだったら『何ふざけたこと言っているんですか』と言い返して、ちょっと突き放すんだけど、何か今日はもうちょっと心の距離を縮めたくて、
「お・・・お祝い・・してほしいです・・・」
と言ってしまった。
私があまりにも素直に返事をしたせいか、先生は、
「えっ!?」
と驚いた声を出し、同じく頬を赤く染めながら私を真っ直ぐ見つめる。
『ドキンドキン・・・』
狭い部屋の中、さっきからずっと、高鳴っている心臓の音だけが響いている気がする。
「夏菜・・・」
先生が私の名を呼び、私の手に触れようとソッと手を伸ばした。