第10話:クリスマス・デート(その14)

文字数 894文字

街でふと見つけた雑貨屋さん。

何度か店の前を通り過ぎたことはあったが、今までは全く気付かずスルーしていたようだ。

というか、男一人で入るようなお店でもないし、用もなかったので眼中に入ってこなかっただけだろう。

「おじゃまします・・・」

女子をかきわけ店に入ってみると、店内は奥に長く、意外と広くてびっくりした。

しかも3階までフロアーがあったため、けっこう大きなお店だ。

が、逆にそれが、おれを悩ませた。

「やばいぞ・・・どこのフロアーでプレゼントを探したらいいんだ・・」

これだけモノがありすぎると、ますます何をプレゼントすればいいのか悩んでしまう!

もういっそうのこと、西森に電話して
「何が欲しい?
手持ちが無くて困っているものがあったら、買ってあげる」
と聞いた方がよさそうな気になってきた。

でも、たぶん聞いたところで『参考書』とか答えられそうな気もするが・・・。

しかし、悩んでいても仕方ないので、とりあえず店内を歩いて回る。

男一人というのが珍しいのか、女の子たちの視線をガンガン感じるけど、恥ずかしさに負けてはいられない。

「やっぱりクリスマス商品が多いな・・・」

1階はクリスマス雑貨のフロアーのようだ。

ツリーやスノードームなどの雑貨は、見た目もかわいくて女子が喜びそうだが、季節商品なので『プレゼント』としてはどうだろう?

クリスマスが終わっても『手元に置いていてもらいたい』というのが正直な気持ちである。

なので、2階の日用雑貨を取り扱っているフロアーに上がってみた。

こちらは季節に関係ない商品を置いているので、何かいいものがあるかもしれない。

「さて、この階には何があるのかな?」

2階のフロアーをさっと見回す。

お茶碗やコップなどのキッチン雑貨や、カバンや帽子などのファッション雑貨、タオルやマットなどのバスルーム雑貨などが陳列されているようだ。

「う~ん・・・。
生活雑貨といえど、西森と一緒に暮らしているわけじゃないから、どういうものを送ったらいいんだろう・・・」

やっぱりここでも頭を悩ませていると、少し離れたところから、
「これ、かわいいよね~」
と楽しそうにおしゃべりしている女の子たちの声が聞こえてきた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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