第8話:トキメキ文化祭 

文字数 805文字

「水野、先生に会いたがっていましたよ」

西森から、水野君がおれに会いたがっている、という話を聞き、ビックリしてしまった。

学校が別なので『水野君と会うことはもう無い』と思っていたのに・・・。

やっぱり、あれかな。

夏休みの件で、おれと西森の仲が「怪しい」と勘づいていたから、それを確認するために、文化祭に来るつもりなのだろうか?

イヤな考えが頭の中に浮かんで、頭を抱えていると、
「先生?
水野と何かありました?」
と西森が聞いてきたので、あわてて、
「あ、いや、また恋のライバルに会うと思うと心配で・・・」
と答えた。

あぶない、あぶない。

西森には『水野君がおれ達の関係を怪しんでいる』という情報は知らせていないので、心配させちゃダメだ。

きっと本当のことを話したら、西森はまたパニックになるかもしれないからな。

でも、ま、水野君の心配をしていても仕方ないので、今はとりあえず「文化祭」のことだけ考えよう。

職員室にたどり着きガラッとドアを開けると、中には誰もいなかった。

「あれ?
みんなどこかに出て行ってるのかな」

『西森と二人きりにならないように』と職員室にやって来たのに、誰もいないとは。

でも、別に悪いことをするわけじゃないので、これはこれで仕方ないだろう。

おれは自分の机のそばに、イスを引っ張って来て、
「じゃあ、ここに座って」
と西森にすすめた。

西森はイスに座ると、おれの机を見て、
「けっこうきちんと片付いていますね。
なんかもっと散らかっているイメージがあったんですけど」
とつぶやいたので、
「そうそう、他の先生にもいつもそう言われるんだよ。
『高山って整理整頓苦手そうな感じなのに、意外ときれい好きなんだな』って。
こう見えても、家の中もけっこう片付いているんだぞ、1人暮らしの男の部屋の割には」
と、自信満々に答える。

すると西森が、
「そうなんですか?
一度見てみたいかも」
と言ったので、おれは、
「えっ!?」
とビックリした声を上げてしまった。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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