第22話:ドキドキ初デート(その22)
文字数 1,919文字
「じゃ、またいつでもプラネタリウム見に来いよ。
リニューアル後は、もっとスゴいことになっているからな!」
「ああ、改装後にまた来るよ」
プラネタリウムを見終わり、涼介に礼を言って、おれと西森は施設を後にする。
腕時計を見ると午後3時前だ。
「西森、確か5時までには家に帰らないといけなかったよな?」
そう聞くと、西森はうなずき、
「ハイ、5時までには帰ると母に言ってきたので。」
と答えた。
車まで2人ノロノロと歩く。
さっきまでとっても楽しかったのに、家に帰るとなると、なんでこんなに寂しい気持ちになるんだろう。
どうせ、また学校で会えるのは分かっているけれども、今度2人でこうやってどこかに出かけることができるのは、いつになるのか分からない。
そう思うと、とっても切ない気持ちでいっぱいになる。
しかし・・・
西森は果たしてそう思ってくれているのだろうか?
「さみしい」と思っているのは、おれだけなのかもしれないな・・・。
駐車場まで来たところで、西森が急に、「あ!」と叫んだ。
「どうした?急に声を出して」
ビックリして西森の方に振り返ると、
「先生、私、忘れ物をしたので、車で待っていて下さい!
すぐに取って来ますから!」
と言うと、走って館内に戻って行く。
忘れ物?
ハンカチか何かカフェにでも忘れてきたのだろうか?
ちょっと気になったが、西森に言われた通り、車の中で戻ってくるのを待つことにした。
ボーっと窓の外の景色を眺める。
辺りはまだ明るくて、このまま帰るのがもったいないぐらいだ。
欲を言えば、夕飯も西森と一緒に食べることができたらいいのに。
でも、親と約束している以上、5時までには絶対家に帰してやらないと・・・。
そんなことを悶々と考えていると、西森が走りながら戻ってくる姿が見えた。
「すみません、遅くなりました!」
息を切らせながら、助手席に乗り込む。
その姿がかわいくて、思わずキュンとしていると、西森は手に持っていた小さな紙袋を、
「ハイ!」
と言って、おれに差し出した。
「え?なんだ?」
突然のサプライズに驚いていると、西森は、
「その・・・、今日、プラネタリウムに連れてきてくれたお礼です・・・」
と言った。
お礼?
全くこんな展開を予想だにしていなかったので、ビックリして、しばらく固まってしまっていた。
「先生には、子供っぽすぎるかもしれませんが・・・」
西森にそう言われ、あわてて紙袋を開けると、そこには、「青い星」が付いたストラップが入っていた。
「え・・・、もしかして忘れ物って、これを買いに行ってくれていたのか?」
西森はコクンとうなずく。
「さっき、ミュージアムショップで見かけて、先生にピッタリかな、と思って・・・」
恥ずかしそうにうつむき、ボソボソとしゃべる西森。
「あ!でも、気に入らなかったら別に付けなくてもいいですから!
捨ててくれてもー・・・」
おれは首をブンブン横に振り、
「捨てるわけないだろ!?
こんな『世界一うれしいプレゼント』絶対大事にする!」
と言って、さっそくスマホを取り出し、ストラップを付ける。
装着し終わったスマホを西森に見せ、
「ほら、すっごくかわいい!」
と、ほほ笑んだ。
おれが気に入った様子を見た西森はホッとしたような表情を見せた。
「そ・・・、そうですか・・・。
気に入ってもらったみたいで、よかったです。」
西森からのプレゼントがうれしすぎて、思わず調子に乗り、
「このストラップを見るたびに、西森のこと思い出すから!」
と言うと、
「べ、別に見るたびに思い出さなくていいです!」
と言って、プイッと横を向いたが、足をブラブラさせて、なんだかうれしそうな様子だ。
「じゃ、帰りますか」
別れは惜しいけど、おれは家に向かって車を走らせ始めた。
すると隣で西森が別の紙袋をゴソゴソと開け、中から何かを取り出し、自分の携帯に付けている。
なんだ?
西森も自分用のストラップを買ったのか?
と、思っていると、
「私は『赤い星』のストラップを買いました。」
と言って、おれに見せてきた。
車を一瞬止めて、西森の携帯を見ると、おれのストラップと色違いの『赤い星』が太陽の光を浴びて、キラキラ輝いている。
え・・・、これってもしかして・・・
「先生と『おそろい』です」
そう言って、はにかんだ西森の顔を見て、おれの胸の中は、今日一番の『キュン!』がさく裂した。
おそろい・・・
おれのスマホに付いた「青い星」のストラップと、西森の携帯に付いた「赤い星」のストラップ。
たったそれだけのことだが、なんだか、おれと西森の距離がグッと縮まったような気がして、あふれ出してくる幸せをかみしめる。
また、明日からは『先生』と『生徒』の関係に戻るけど、このストラップが二人をつなぎとめる「お守り」になってくれるような気がした。
リニューアル後は、もっとスゴいことになっているからな!」
「ああ、改装後にまた来るよ」
プラネタリウムを見終わり、涼介に礼を言って、おれと西森は施設を後にする。
腕時計を見ると午後3時前だ。
「西森、確か5時までには家に帰らないといけなかったよな?」
そう聞くと、西森はうなずき、
「ハイ、5時までには帰ると母に言ってきたので。」
と答えた。
車まで2人ノロノロと歩く。
さっきまでとっても楽しかったのに、家に帰るとなると、なんでこんなに寂しい気持ちになるんだろう。
どうせ、また学校で会えるのは分かっているけれども、今度2人でこうやってどこかに出かけることができるのは、いつになるのか分からない。
そう思うと、とっても切ない気持ちでいっぱいになる。
しかし・・・
西森は果たしてそう思ってくれているのだろうか?
「さみしい」と思っているのは、おれだけなのかもしれないな・・・。
駐車場まで来たところで、西森が急に、「あ!」と叫んだ。
「どうした?急に声を出して」
ビックリして西森の方に振り返ると、
「先生、私、忘れ物をしたので、車で待っていて下さい!
すぐに取って来ますから!」
と言うと、走って館内に戻って行く。
忘れ物?
ハンカチか何かカフェにでも忘れてきたのだろうか?
ちょっと気になったが、西森に言われた通り、車の中で戻ってくるのを待つことにした。
ボーっと窓の外の景色を眺める。
辺りはまだ明るくて、このまま帰るのがもったいないぐらいだ。
欲を言えば、夕飯も西森と一緒に食べることができたらいいのに。
でも、親と約束している以上、5時までには絶対家に帰してやらないと・・・。
そんなことを悶々と考えていると、西森が走りながら戻ってくる姿が見えた。
「すみません、遅くなりました!」
息を切らせながら、助手席に乗り込む。
その姿がかわいくて、思わずキュンとしていると、西森は手に持っていた小さな紙袋を、
「ハイ!」
と言って、おれに差し出した。
「え?なんだ?」
突然のサプライズに驚いていると、西森は、
「その・・・、今日、プラネタリウムに連れてきてくれたお礼です・・・」
と言った。
お礼?
全くこんな展開を予想だにしていなかったので、ビックリして、しばらく固まってしまっていた。
「先生には、子供っぽすぎるかもしれませんが・・・」
西森にそう言われ、あわてて紙袋を開けると、そこには、「青い星」が付いたストラップが入っていた。
「え・・・、もしかして忘れ物って、これを買いに行ってくれていたのか?」
西森はコクンとうなずく。
「さっき、ミュージアムショップで見かけて、先生にピッタリかな、と思って・・・」
恥ずかしそうにうつむき、ボソボソとしゃべる西森。
「あ!でも、気に入らなかったら別に付けなくてもいいですから!
捨ててくれてもー・・・」
おれは首をブンブン横に振り、
「捨てるわけないだろ!?
こんな『世界一うれしいプレゼント』絶対大事にする!」
と言って、さっそくスマホを取り出し、ストラップを付ける。
装着し終わったスマホを西森に見せ、
「ほら、すっごくかわいい!」
と、ほほ笑んだ。
おれが気に入った様子を見た西森はホッとしたような表情を見せた。
「そ・・・、そうですか・・・。
気に入ってもらったみたいで、よかったです。」
西森からのプレゼントがうれしすぎて、思わず調子に乗り、
「このストラップを見るたびに、西森のこと思い出すから!」
と言うと、
「べ、別に見るたびに思い出さなくていいです!」
と言って、プイッと横を向いたが、足をブラブラさせて、なんだかうれしそうな様子だ。
「じゃ、帰りますか」
別れは惜しいけど、おれは家に向かって車を走らせ始めた。
すると隣で西森が別の紙袋をゴソゴソと開け、中から何かを取り出し、自分の携帯に付けている。
なんだ?
西森も自分用のストラップを買ったのか?
と、思っていると、
「私は『赤い星』のストラップを買いました。」
と言って、おれに見せてきた。
車を一瞬止めて、西森の携帯を見ると、おれのストラップと色違いの『赤い星』が太陽の光を浴びて、キラキラ輝いている。
え・・・、これってもしかして・・・
「先生と『おそろい』です」
そう言って、はにかんだ西森の顔を見て、おれの胸の中は、今日一番の『キュン!』がさく裂した。
おそろい・・・
おれのスマホに付いた「青い星」のストラップと、西森の携帯に付いた「赤い星」のストラップ。
たったそれだけのことだが、なんだか、おれと西森の距離がグッと縮まったような気がして、あふれ出してくる幸せをかみしめる。
また、明日からは『先生』と『生徒』の関係に戻るけど、このストラップが二人をつなぎとめる「お守り」になってくれるような気がした。