第7話:二人の夏休み(その16)

文字数 628文字

「じゃあ、おれたちはあっちで食べるから、お前たちは高校生同士で楽しんでくれ」

そう言って、涼介の腕を引っ張り、窓側の席に行こうとすると、
「あ、高山ちゃん、一緒にいる人は誰なの?」
と聞かれた。

おれは、涼介を指さしながら、
「こいつは、おれの大学時代の友人で、前田涼介。
ほら、この近くにある『青少年自然の館』で天文関係を教えている職員なんだ」
と紹介すると、水野君が、
「じゃあ、星について詳しいんですね。
それだったら、今夜、天体観測会をやってもらえませんか?
昼は勉強合宿だけど、夜はもうちょっと楽しい勉強イベントをやりたかったんで」
と言い出した。

するとうちの学校の女子も、
「あ!それいいかも!
高山ちゃんも地学担当だから、二人で星のこと教えてくれたらうれしいな!」
と言い始める。

えっ!?
待ってくれ!

おれは西森と一緒に星を見る約束で、ここにやって来たのに、なんで他の生徒も混ざって健全な天体観測会をやらないといけないんだ!?

予想外の展開に『納得いかない』というような顔をしていると、西森が、
「水野、ダメだよ。
先生達も都合があるだろうし、突然こんなこと言われても困るだけだと思う」
と助け船を出してくれた。

すると水野君は、頭をポリポリかきながら、
「あー、そうだな。
確かに西森の言う通り。
先生達の都合とか考えてなかったよ」
と、あきらめかけようとした時、
「いや、ヒマだから、観測会やってもいいよ」
と、涼介がしゃべった。

おいおい!?
第三者の涼介が、なんで勝手にOKしてるんだよ!?
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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