第8話:先生のお誕生日(その30)

文字数 809文字

照れのせいか、再び頬を真っ赤に染めながら、
「そ・・・その、ほんとに大したものじゃないから、申し訳ないんですけど・・・」
と言うと、先生は首を横に振る。

「大したものじゃないことなんて、無い!
おれは、夏菜からもらえるモノだったら、なんだってうれしいし、宝物なんだから!」

先生にそう言われて、ますます私の頬は真っ赤になっていく。
隠そうと思っても、隠しきれてないから、きっと先生も私が恥ずかしがっていることに気づいていると思う。

一通りラッピングの様子を眺めてから、
「開けていい?」
と、先生が聞いてきたので、
「は、はい!」
と答える。

先生はラッピングを丁寧に外し、中からプレゼントを撮り出すと、
「マグカップだ!
星柄でかわいい!」
と、うれしそうな声を出した。

私はすかさず、
「そ、その、この前、職員室に行った時、先生のマグカップのふちが欠けているのに気づいて。
だから、新しくこれを使ってくれたらいいなぁ、と・・・」
と説明を付け加えると、先生は大きくうなずき、
「もちろん!
来週からさっそく使わせてもらうよ」
と笑顔で答えてくれる。

喜んでくれるか不安だったから、先生がそう言ってくれたのが、とってもうれしかった。

すると緊張していた気持ちが一気に緩んだのか、
「よ・・・よかった・・・」
と、声が思わず出てしまった。

「え?」

先生が少し驚いたような顔をしていたので、私は、
「私、あまり誕生日会とかやったことがなかったから、プレゼントに何を選べばいいのとか全く分からなくて・・・。
だから、先生が気に入ってくれるかどうか不安だったから、今の言葉聞いて、ホッとしました・・・」
と本音を言うと、先生が急に、
「あああああああ~っ!!」
と声を上げて、突然机に顔を突っ伏せた。

「せ、先生!?」

急に先生が壊れた(?)ので、ビックリする私。

先生はしばらく机に顔を伏せていたが、数秒後チラリと私の方に目を向け、
「か・・・『かわいさ』の連続で、ずるい・・・」
と言ってきた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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