第25話:教育実習生にメラメラ(その25)

文字数 800文字

「中原先生、どうしました?」

先生が話しかけると、中原先生は、
「いえ、その・・・、昨日はお恥ずかしい場面を見せてしまって、本当に申し訳ございませんでした!」
と言って頭を下げて謝った。

「いやいや、本当に気にしてないですから。
それより彼氏さんとは仲直りしました?」

「それは・・・その・・・まだです・・・。」

二人の会話を聞いていると、ますます胃がキリキリ痛んできた。

でも、私のそんな状態を知らない二人はまだ会話を続けている。

中原先生が、
「というか、高山先生こそ、片思いの方とは昨夜会えたのですか?」
と言ったので、私は思わずビクッとする。

『片思いの方』?

何かよく分からないワードが出てきたので、胃の痛みを忘れ、二人の会話に耳をすます。

「だって、昨夜、『片思いの』を車でお迎えに来ていたのに、メールを見た瞬間、取り乱して帰って行っちゃったじゃないですか。
だから、ちょっと気になっていたんです。」

中原先生の話を聞いて、私は、
「『片思いの方』って・・・私のことなの?」
と思わずつぶやいてしまった。

よくよく考えると、先生から「好きだ」と言われているので、私が先生の「片思いの相手」なのだと思うけれども、第三者から改めて指摘されると、なぜか急に顔が熱くなっていく。

「な・・・なんだろ・・・私・・・」

胃の痛みと、急激な体温の上昇で、私は意識が遠のいていくのを感じた・・・。

************

「んんん・・・」

目を開けると、天井が見えた。

でも、それは自宅のベッドから見える見慣れた天井ではない。

「????」

いったい、どういうことなのか、思い出そうとしていると、
「西森、気づいたか?」
と言って、先生が顔をのぞきこんできた。

「えっ!?」

私はビックリして、ベッドから飛び起きようとすると、先生が、
「こらこら!
急に起き上がったらダメだって!
西森、廊下で急に倒れて、めちゃくちゃビックリしたんだぞ!」
と言ってベッドに押し戻された。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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