第10話:クリスマス・デート(その16)
文字数 882文字
「ハイ、もしもし、西森!?」
西森からの電話にあわてて出ると、
「先生、ごめんなさい!」
と、半分泣きそうな声で西森が謝ってきた。
一体何事かと思って、
「え!?どうした!?
何かあったのか!?」
と聞くと、西森は、
「24日、急に塾の授業が夕方まで入ってしまったんです・・・」
と悲しそうな声で言った。
「え?授業?」
予想外のイベントの乱入に、思わずびっくりしてしまった。
「た・・・確か、24日は午前中で塾は終わるんだったっけ?」
そう聞き返すと、西森は、
「はい、その予定でした。
でも、今日塾に行くと、急にそう告げられて。
年明けに全国模試があって、その対策のために24日に午前中から夕方まで特別授業を行うことになったんです・・・」
と答える。
一瞬、頭の中が真っ白になって黙ってしまったが、電話の向こうで、
「ごめんなさい・・・」
と泣き出しそうな西森の声を聞き、ハッと我に返る。
これ以上、西森を悲しませたくないため、出来るだけ明るい声で、
「授業だったら、仕方ない。
というか、事故か何かで電話してきたのかと思ったから、無事でよかった。
気にしないで、大丈夫。
授業が終わってからでも、会えればそれで充分だから」
と伝えた。
ほんと、西森から電話がかかってきた時、何かトラブルにでも巻き込まれたのかと心配したから、そうじゃなくてよかった。
これは本心である。
そう言われて西森も少しホッとしたのか、
「ありがとうございます・・・」
と言ったが、でも、まだどこか元気が無さそうだ。
なので、
「学生はまず『勉強』が一番。
年明けの全国模試、西森にとっては大事なイベントだろ?
それだったら、塾の授業を優先しなくちゃ。
高い塾代も払ってるしね」
と、冗談を交えながら伝えた。
自分としては『先生』という立場でもあるゆえ、『恋愛』を優先してくれ、なんて絶対に言えない。
なのでここはガマンである。
おれは再び明るい声で、
「じゃあ、24日、塾が終わったら、また連絡して。
少しの時間になるかもしれないけど、楽しいクリスマスにしよう」
と伝えると、西森も、
「はい、分かりました。
塾が終わったら、すぐに先生に連絡します」
と言って、電話を切った。
西森からの電話にあわてて出ると、
「先生、ごめんなさい!」
と、半分泣きそうな声で西森が謝ってきた。
一体何事かと思って、
「え!?どうした!?
何かあったのか!?」
と聞くと、西森は、
「24日、急に塾の授業が夕方まで入ってしまったんです・・・」
と悲しそうな声で言った。
「え?授業?」
予想外のイベントの乱入に、思わずびっくりしてしまった。
「た・・・確か、24日は午前中で塾は終わるんだったっけ?」
そう聞き返すと、西森は、
「はい、その予定でした。
でも、今日塾に行くと、急にそう告げられて。
年明けに全国模試があって、その対策のために24日に午前中から夕方まで特別授業を行うことになったんです・・・」
と答える。
一瞬、頭の中が真っ白になって黙ってしまったが、電話の向こうで、
「ごめんなさい・・・」
と泣き出しそうな西森の声を聞き、ハッと我に返る。
これ以上、西森を悲しませたくないため、出来るだけ明るい声で、
「授業だったら、仕方ない。
というか、事故か何かで電話してきたのかと思ったから、無事でよかった。
気にしないで、大丈夫。
授業が終わってからでも、会えればそれで充分だから」
と伝えた。
ほんと、西森から電話がかかってきた時、何かトラブルにでも巻き込まれたのかと心配したから、そうじゃなくてよかった。
これは本心である。
そう言われて西森も少しホッとしたのか、
「ありがとうございます・・・」
と言ったが、でも、まだどこか元気が無さそうだ。
なので、
「学生はまず『勉強』が一番。
年明けの全国模試、西森にとっては大事なイベントだろ?
それだったら、塾の授業を優先しなくちゃ。
高い塾代も払ってるしね」
と、冗談を交えながら伝えた。
自分としては『先生』という立場でもあるゆえ、『恋愛』を優先してくれ、なんて絶対に言えない。
なのでここはガマンである。
おれは再び明るい声で、
「じゃあ、24日、塾が終わったら、また連絡して。
少しの時間になるかもしれないけど、楽しいクリスマスにしよう」
と伝えると、西森も、
「はい、分かりました。
塾が終わったら、すぐに先生に連絡します」
と言って、電話を切った。