第7話:二人の夏休み(その22)

文字数 710文字

「その・・・、先生って西森と仲いいですか?」

水野君にそう聞かれ、
「えっ!?なに、突然!?」
と叫んでしまった。

なんで?
なんで急にそんなこと言い出すの!?

おれ、水野君の前で、『西森大好き!』みたいな行動とってた!?

オロオロと動揺していると、水野君は、
「いや、その、ほらさっき、おれが西森に告白まがいのようなモノをした時、先生が、『西森はこういうの慣れてないから、騒がれれば騒がれるほど、逃げたくなるタイプだ』って話してくれたじゃないですか。
すごく西森の性格を知っているみたいだったので・・・」
と言った。

マジか・・・。

やってしまった・・・。

何気に出てしまった言葉だったが、確かによく考えてみると、西森の性格を知らないとそんなこと言えないよな・・・。

でも、ここはなんとかシラを切るしかない。

「仲いいというか、一応、西森の副担任だから、生徒の性格はそれなりに把握してるつもりでね」

心臓はバクバクしているけれど、なるべく冷静を装って答えると、
「あ、副担任だったんですか。
それなら、西森と接点ありますよね」
と水野君は、納得してくれたようだった。

よかった・・・。

なんとかうまくごまかせたみたいだ。

しかし、ホッとしたのも束の間、水野君が突然、
「おれ、西森のことが好きなんですけど、やっぱり今夜、ちゃんと告白した方がいいですか?」
と、真顔でおれに向かって言ってきた。

え?
今なんて言った?

水野君が西森に告白・・・。

「こっ、告白!?」

思わずビックリして叫んでしまうと、
「せ、先生!
声がでかいですよ!!」
と、水野君があわてておれの口をふさいだ。

いやいや、あわてずにいられるか!!

あ~っ!!
やっぱりイヤな予感的中!!

水野君は西森が好きだった・・・。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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