第9話:風邪をひいた日の話(その30)

文字数 603文字

そんなうれしそうな夏菜の顔を見ていると、さっきまで落ち込んでいた気持ちが徐々に消えていき、
「ほんとだ、ちゃんと出来てる!
夏菜、すごいよ!」
と、褒めてあげた。

すると夏菜は、とってもうれしそうな顔をする。

ううっ!
やっぱり、かわいいな!

この笑顔に、病気も心も癒されていく・・・。

夏菜はさらに、
「持ってきたリンゴとキウイも切ったので、一緒に食べてください」
と言って、お粥と一緒に果物を入れたお皿をテーブルに並べた。

おれの腹も空腹の限界を迎えていたので、
「いただきます」
と言って、すぐにお粥に手を伸ばした。

お粥には梅干しが入っていて、梅干しの『酸っぱさ』とお粥の『甘さ』が口いっぱいに広がる。

おれはうなずきながら、
「うん、美味しいよ、すごく美味しい!」
と言うと、夏菜は、
「ほんとですか!
先生のお口に合って、よかったです!」
と、本当にとってもうれしそう。

お粥を食べながら、夏菜と二人で他愛ない会話をした。

甘い雰囲気の時間も好きだけど、こんな風に、二人で楽しく話をしている時間も大好きだ。

話をしていると、たまたま来月のクリスマスの話になった。

おれが、
「来月はもう12月か。
クリスマスの季節だな」
と言うと、夏菜が、
「先生、クリスマスはその・・・」
と、何かを言いかける。

「クリスマスがどうかした?」

おれが聞くと、夏菜は、
「その・・・クリスマスは、恋人同士で過ごすんですか?
世間一般的には・・・」
と、頬を赤く染めながら言った。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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