第12話:教育実習生にメラメラ(その12)
文字数 1,007文字
放課後、寄り道もせず、まっすぐ塾に向かう。
塾は学校から三駅離れた場所にあるので、電車で移動中も参考書を開き、いつも勉強している。
今日は、さっきからカバンの中で携帯がブーブーと音を立て続けているけど。
「ああ!もう、うっとうしい!」
きっと先生からのメールだと思う。
ずっと無視していたけど、これ以上ブーブー音が鳴るのも嫌なので、とりあえず確認しようとカバンから携帯を取り出す。
案の定、メールは先生からで、
『西森、何か気に障るようなことをしたのなら謝るので、嫌いにならないでください』
というような内容だった。
「別に、先生が悪いわけじゃないのに・・・」
先生と知り合うまでは、余計なことで心を乱されることもなかった。
でも最近、自分の心の中に初めて感じるようないろんな感情が、どんどんあふれ出てきて、イライラするし、苦しいし、辛い時もある。
メールを見て「ハァ・・・」と深いため息をつくと、隣に座っていた他校の女子2人組が、こんな会話をしていた。
「なんか彼氏に、隣のクラスの女子が猛プッシュしてきてるんだけど」
「え?それってヤバくない?
ちゃんと気持ち、引き留めてるの?」
「引き留めてるけど、プッシュしてきている子が超かわいくて、なんか自信ないんだよね・・・」
「もう!そんな弱気になっちゃダメだよ!」
その会話はなんだか、他人事のように思えなかった。
先生、あの後、中原先生と二人で校内を歩いたのかな・・・
自分から、先生に中原先生を押し付けたくせに、今になってその行動を後悔するなんて、バカみたい・・・。
こういう時、どうしたらいいんだろう?
今、手元にある国語、数学、英語等の参考書は勉強にはとっても役に立つけど、『先生と仲直りしたい方法』は何も載っていない。
何か、何か、こう、コミュニケーションが苦手な私にでも「こういう時は、こうすればいいんですよ」と、書いているような分かりやすい参考書はないのだろうか?
その時、ふと上を見ると、車内に吊られている広告が目に入ってきた。
ドーンと大きく、『今、恋している女性に一番売れている本!』と見出しが書かれている。
「恋に不器用な女性必見。
彼氏の気持ちをしっかり引き留める100の方法を掲載。
恋の参考書の決定版・・・」
恋の参考書・・・。
え!?
そんな参考書があったの!?
じゃあ、この本を読めば、私の悩みも全部解決できるのかもしれない!
そう思った私は、電車を降りると、近くの本屋さんに駆け込んだのだった。
塾は学校から三駅離れた場所にあるので、電車で移動中も参考書を開き、いつも勉強している。
今日は、さっきからカバンの中で携帯がブーブーと音を立て続けているけど。
「ああ!もう、うっとうしい!」
きっと先生からのメールだと思う。
ずっと無視していたけど、これ以上ブーブー音が鳴るのも嫌なので、とりあえず確認しようとカバンから携帯を取り出す。
案の定、メールは先生からで、
『西森、何か気に障るようなことをしたのなら謝るので、嫌いにならないでください』
というような内容だった。
「別に、先生が悪いわけじゃないのに・・・」
先生と知り合うまでは、余計なことで心を乱されることもなかった。
でも最近、自分の心の中に初めて感じるようないろんな感情が、どんどんあふれ出てきて、イライラするし、苦しいし、辛い時もある。
メールを見て「ハァ・・・」と深いため息をつくと、隣に座っていた他校の女子2人組が、こんな会話をしていた。
「なんか彼氏に、隣のクラスの女子が猛プッシュしてきてるんだけど」
「え?それってヤバくない?
ちゃんと気持ち、引き留めてるの?」
「引き留めてるけど、プッシュしてきている子が超かわいくて、なんか自信ないんだよね・・・」
「もう!そんな弱気になっちゃダメだよ!」
その会話はなんだか、他人事のように思えなかった。
先生、あの後、中原先生と二人で校内を歩いたのかな・・・
自分から、先生に中原先生を押し付けたくせに、今になってその行動を後悔するなんて、バカみたい・・・。
こういう時、どうしたらいいんだろう?
今、手元にある国語、数学、英語等の参考書は勉強にはとっても役に立つけど、『先生と仲直りしたい方法』は何も載っていない。
何か、何か、こう、コミュニケーションが苦手な私にでも「こういう時は、こうすればいいんですよ」と、書いているような分かりやすい参考書はないのだろうか?
その時、ふと上を見ると、車内に吊られている広告が目に入ってきた。
ドーンと大きく、『今、恋している女性に一番売れている本!』と見出しが書かれている。
「恋に不器用な女性必見。
彼氏の気持ちをしっかり引き留める100の方法を掲載。
恋の参考書の決定版・・・」
恋の参考書・・・。
え!?
そんな参考書があったの!?
じゃあ、この本を読めば、私の悩みも全部解決できるのかもしれない!
そう思った私は、電車を降りると、近くの本屋さんに駆け込んだのだった。