第19話:ドキドキ初デート(その19)
文字数 1,934文字
カフェで幸せ気分に浸りながら、西森と食事をしていると、
「えー、『ラブラブ・ランチ』の邪魔をして、申し訳ございませんが、そろそろプラネタリウムが始まりますので」
と、涼介が割り込んできた。
おれは腕時計を見て、
「あ、もうそんな時間だったっけ?
じゃ、西森、行こうか」
と、あわてて席を立つ。
西森も残っていた紅茶を全部飲み干すと、
「ごちそうさまでした」
と言って席を立ち、おれ達はプラネタリウムに向かった。
涼介は廊下を歩きながら、説明を始める。
「今から上映するプログラムは、今夜見える星や星座をドームに映し出して施設の職員が解説するモノなんだけど・・・」
「いいじゃん。
でも、何?『なんだけど・・・』って、何か不都合でもあるのか?」
おれが疑問に思っていると、急に涼介が『ポン』とおれの背中を叩き、
「お客は流星と夏菜ちゃんの2人だけだから、職員の代わりに流星が星空の解説をしてやって♪」
と、ニヤニヤしながら言ってきた。
「え!?」
おれは、涼介からの突然の提案にビックリして思わず大きな声で叫んでしまった。
なんだ!?
その気の利き過ぎたサービスは!?
プラネタリムを西森と二人きりで貸し切るだけでもぜいたくなことなのに、おまけにおれに解説をさせてくれるなんて!?
急展開にアワアワしていると、西森が横からヒョコッと顔を出し、
「先生、星の解説できるんですか?」
と聞いてきたので、
「で、できるに決まっているだろ!
これでも一応『地学教師』ですよ!
西森に『さすが!』と言わせてみせるからな!」
と、かなり大見栄を張ってしまった。
そう言った後で、『大丈夫かな・・・』とちょっと不安を感じてしまったが、言い切ったからにはやるしかない。
そんな様子をニコニコしながら見ていた涼介は、
「了解。
じゃあ、解説は流星に頼んだから、2人きりのプラネタリウム、楽しんでくれよ」
と言って、プラネタリウムのドアを開けた。
室内からひんやりとした空気が、外に流れ出る。
一歩足を踏み入れると、薄暗い室内が、なぜかおれを緊張させていく。
こんな広いプラネタリウムの空間をおれと西森の2人で「フタリジメ」できるなんて・・・。
しかも上映が始まれば、辺りは真っ暗になって、天井には満天の星空が広がる。
さっき車の中で、「両想いになるまでは一線を越えません」宣言をしたが、ヤバい、何かしでかしたらどうしよう・・・。
そんなことをモンモンを考えていると西森が、
「先生、どこに座ります?」
と聞いてきたので、ハッと我に返った。
西森がキョロキョロと周りを見回し、
「どこに座っても大丈夫ですか?」
と聞いてきたので、
「ちょっと待て。ベストポジションがあるから」
と、おれはグルッと天井のドームを見上げた。
「あっちが南側だから、こっちの北側の席に座ろう。」
そう言って席を選び始めると、西森が、
「なんで北側の方がいいんですか?」
と質問してきた。
おれはドームの南側の方向を指さし、
「ほら、星空を思い出してくれ。
季節の星座は南側の空を動いていくだろ?
プラネタリウムも同じで、南側の天井に季節の星座が映し出されるから、北側の席に座った方が見えやすいんだ。」
と簡単に説明をした。
おれとしては大したことを言ったつもりはなかったのだが、急に西森がグイッと上着を引っ張ってきたので、驚いて振り返る。
すると、西森は目をキラキラさせながら、
「先生、すごいですね!」
と言った。
「え?すごい?」
西森から褒められた記憶がほとんどないおれは、思わず聞き返してしまった。
西森は「うん」とうなずき、
「いつもは『ダメ教師』なのに、星のことになると、ほんと別人みたいに活き活き輝いちゃうんですね。
ちょっと見直しました。」
と言って、おれに微笑みかける。
これは夢か・・・。
思わずホッペをつねってしまった。
西森がおれを褒めてくれた上に、さらには少し見直してくれたなんて・・・。
それだけで幸せ過ぎて舞い上がりそうだったが、これぐらいで褒められて満足している場合では無い。
西森の中ではまだおれは「ダメ教師」である。
よし!ここからが本番だ!
おれは西森にスッと手を差し出した。
「では、今から素晴らしい『夜空の旅』に西森を連れて行くから、さ、手を出して」
我ながら「恥ずかしい」ことを言っているような気がしたが、今さら差し出した手を引っ込めることもできず、西森が動いてくれるのを待った。
西森は差し出された手とおれの顔を交互に見て、ちょっと戸惑っている様子だ。
しかし、
「せっかくちょっと見直したわけですから、再びガッカリさせないでくださいよ」
と言うと、おれの手を取った。
おれの大きな手と、西森の小さな手がギュッとつながれる。
そのまま西森を座席までエスコートし、着席して天井を見上げた。
さあ、2人だけのプラネタリウムの開演だ。
「えー、『ラブラブ・ランチ』の邪魔をして、申し訳ございませんが、そろそろプラネタリウムが始まりますので」
と、涼介が割り込んできた。
おれは腕時計を見て、
「あ、もうそんな時間だったっけ?
じゃ、西森、行こうか」
と、あわてて席を立つ。
西森も残っていた紅茶を全部飲み干すと、
「ごちそうさまでした」
と言って席を立ち、おれ達はプラネタリウムに向かった。
涼介は廊下を歩きながら、説明を始める。
「今から上映するプログラムは、今夜見える星や星座をドームに映し出して施設の職員が解説するモノなんだけど・・・」
「いいじゃん。
でも、何?『なんだけど・・・』って、何か不都合でもあるのか?」
おれが疑問に思っていると、急に涼介が『ポン』とおれの背中を叩き、
「お客は流星と夏菜ちゃんの2人だけだから、職員の代わりに流星が星空の解説をしてやって♪」
と、ニヤニヤしながら言ってきた。
「え!?」
おれは、涼介からの突然の提案にビックリして思わず大きな声で叫んでしまった。
なんだ!?
その気の利き過ぎたサービスは!?
プラネタリムを西森と二人きりで貸し切るだけでもぜいたくなことなのに、おまけにおれに解説をさせてくれるなんて!?
急展開にアワアワしていると、西森が横からヒョコッと顔を出し、
「先生、星の解説できるんですか?」
と聞いてきたので、
「で、できるに決まっているだろ!
これでも一応『地学教師』ですよ!
西森に『さすが!』と言わせてみせるからな!」
と、かなり大見栄を張ってしまった。
そう言った後で、『大丈夫かな・・・』とちょっと不安を感じてしまったが、言い切ったからにはやるしかない。
そんな様子をニコニコしながら見ていた涼介は、
「了解。
じゃあ、解説は流星に頼んだから、2人きりのプラネタリウム、楽しんでくれよ」
と言って、プラネタリウムのドアを開けた。
室内からひんやりとした空気が、外に流れ出る。
一歩足を踏み入れると、薄暗い室内が、なぜかおれを緊張させていく。
こんな広いプラネタリウムの空間をおれと西森の2人で「フタリジメ」できるなんて・・・。
しかも上映が始まれば、辺りは真っ暗になって、天井には満天の星空が広がる。
さっき車の中で、「両想いになるまでは一線を越えません」宣言をしたが、ヤバい、何かしでかしたらどうしよう・・・。
そんなことをモンモンを考えていると西森が、
「先生、どこに座ります?」
と聞いてきたので、ハッと我に返った。
西森がキョロキョロと周りを見回し、
「どこに座っても大丈夫ですか?」
と聞いてきたので、
「ちょっと待て。ベストポジションがあるから」
と、おれはグルッと天井のドームを見上げた。
「あっちが南側だから、こっちの北側の席に座ろう。」
そう言って席を選び始めると、西森が、
「なんで北側の方がいいんですか?」
と質問してきた。
おれはドームの南側の方向を指さし、
「ほら、星空を思い出してくれ。
季節の星座は南側の空を動いていくだろ?
プラネタリウムも同じで、南側の天井に季節の星座が映し出されるから、北側の席に座った方が見えやすいんだ。」
と簡単に説明をした。
おれとしては大したことを言ったつもりはなかったのだが、急に西森がグイッと上着を引っ張ってきたので、驚いて振り返る。
すると、西森は目をキラキラさせながら、
「先生、すごいですね!」
と言った。
「え?すごい?」
西森から褒められた記憶がほとんどないおれは、思わず聞き返してしまった。
西森は「うん」とうなずき、
「いつもは『ダメ教師』なのに、星のことになると、ほんと別人みたいに活き活き輝いちゃうんですね。
ちょっと見直しました。」
と言って、おれに微笑みかける。
これは夢か・・・。
思わずホッペをつねってしまった。
西森がおれを褒めてくれた上に、さらには少し見直してくれたなんて・・・。
それだけで幸せ過ぎて舞い上がりそうだったが、これぐらいで褒められて満足している場合では無い。
西森の中ではまだおれは「ダメ教師」である。
よし!ここからが本番だ!
おれは西森にスッと手を差し出した。
「では、今から素晴らしい『夜空の旅』に西森を連れて行くから、さ、手を出して」
我ながら「恥ずかしい」ことを言っているような気がしたが、今さら差し出した手を引っ込めることもできず、西森が動いてくれるのを待った。
西森は差し出された手とおれの顔を交互に見て、ちょっと戸惑っている様子だ。
しかし、
「せっかくちょっと見直したわけですから、再びガッカリさせないでくださいよ」
と言うと、おれの手を取った。
おれの大きな手と、西森の小さな手がギュッとつながれる。
そのまま西森を座席までエスコートし、着席して天井を見上げた。
さあ、2人だけのプラネタリウムの開演だ。