第9話:風邪をひいた日の話(その14)

文字数 717文字

西森が、病気のおれを看病!?

そんなこと、全く考えてもいなかったので、急にドキドキし始め、一気に体温が上昇する。

ただでさえ微熱があるというのに、ますます熱が出たような気がして、倒れそうだ。

おれはドキドキしながら、
「え?看病って、西森、家に来てくれるの・・・?」
と聞くと、西森は、
「今日は塾があるので、帰りにちょっとしか寄れませんが、明日だったら行けると思います」
と答える。

ええっ!?
今日の帰りも、明日の土曜日も!?

そ、そんな、西森に看病してもらえるなんて、夢のようじゃん!!

もちろん看病してもらいたい!
ずっと一緒にいてもらいたい!

でも・・・

おれはスマホを握りしめ、
「ありがとう、すげーうれしい。
でも、また西森に風邪をうつしちゃったら、悪いだろ?
だから、心配しないで。
おとなしく、今日、明日、寝てれば治ると思うから、西森はいつも通りに土日を過ごしてくれていいから」
と、大人な回答をしてしまった。

さすがに、これ以上、西森をおれのワガママで巻き込むのも悪いし、また風邪をひかせてしまったら、かわいそうだ。

それに・・・

今も微熱が出ていて、少し意識がもうろうとしている。

この状態のままで西森を家に呼んだら、もうろうとしている中で、おれは何をしでかすか分からない。

またキスしてしまうかもしれないし、それ以上のことをしてしまったら・・・、と思うと、会わない方が絶対良さそうだ。

看病を断ると、西森は電話の向こうから、
「そうですか・・・」
と、ちょっとさみしそうな声を出す。

え?何、その反応?
もしかして、そんなにおれの看病をしたかったの!?

断ったことを少し後悔していると、西森は、
「分かりました。
安静に過ごしてくださいね、お大事に」
と言って、電話を切った。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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