第27話:トキメキ文化祭

文字数 870文字

おれは首をブンブン横に振りながら、
「いやいや、全然!
慕われているというか、『先生』として見られていないだけだって。
『友達』とか『同級生』としか見てないんだよ、あいつらは」
と答えると、水野君は、
「そうだとしても、慕われているのってスゴイと思いますよ。
な、西森」
と西森に話題を振った。

西森は「えっ」と驚いた顔をしたが、
「若干、なめられているような気もするよ」
と言った。

た・・・確かに・・・。

西森の言う通り、おれは『教師』としての威厳は全く無く、生徒から完全になめられているような気がする・・・。

すると西森が、
「なめられているけど・・・
確かに人が寄ってくるのは、先生の『長所』だと思います。
全く人が寄ってこない性格の私からすると、うらやましい限りの長所です・・・」
と突然暗いことを言い始めた。

おれはあわてて、
「そ、そんなことはないぞ、西森!
西森は真面目で、しっかりしていて、おれとは真逆のスゴい長所を持っているんだから!
もっと自信を持っていいんだぞ!」
と思わず熱く語ってしまったので、周囲にいた人たちが『なんだ?なんだ?』という感じで振り返る。

西森は人前で褒められたことが恥ずかしかったのか、
「な、な、何を言い出すんですか!?」
と真っ赤になって怒ったので、おれもハッと我に返り、
「ご・・・ごめん・・・。
その・・・自信を持ってもらいたくて・・・」
と恥ずかしくて、思わずうつむいてしまう。

そんなおれ達の様子を見ていた水野君が、
「先生と西森、やっぱり仲がいいんですね。
なんか妬いちゃうな」
と言って、ニコッと笑った。

あああああーっ!!!
すっかり水野君の存在を忘れていた!!

水野君の前で、西森とイチャイチャしてしまうなんて、明らかにアウトだろ!?

もう、おれのバカ!!

これじゃ、ますますおれと西森が『付き合っている』と思われても仕方ない状態じゃん!

「いや、あのね、水野君。
これは・・・」
と、わけの分からない言い訳をしようとした時、
「あ!高山先生!
ちょうどいいところにいた♪
よかったら、うちの『お化け屋敷』に入って行ってよ」
と知り合いの男子から声をかけられた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み