第8話:先生のお誕生日(その14)

文字数 672文字

私が来るだけで『最高の誕生日プレゼント』って、あまりにも手軽すぎて申し訳ない気がした・・・。

でも、学生の身分じゃそれぐらいしか出来ないので、
「すみません、先生。
お小遣いだけじゃどうにもならないので、お言葉に甘えさせていただきます・・・。
あ、でも、そんなにたくさん食べたりしないので、無理に準備されなくても大丈夫ですよ」
と言った。

先生はすごくうれしそうな声で、
「いやいや、本当にうれしすぎるから!
好きな人と一緒に誕生日を迎えられるなんて、幸せ過ぎて死にそうだ」
と言ってくるので、ますます恥ずかしくて顔が真っ赤になる。

その時、最寄りの駅に電車が近づいてくるのが見えた。

私はあわてて走り出し、
「あ、先生、すみません!
電車が着たので、そろそろ行きます!
またお邪魔する時間とか決まったら、連絡します」
と言うと、先生も、
「あ、長々とゴメン。
また連絡待ってるから」
と言って、お互い電話を切った。

走って駅に着くと、ちょうど電車が到着したところだった。
改札を抜け、急いで電車に乗り込む。

「なんとかセーフ・・・」

走ったせいで、息切れしている・・・。
体力無いからなぁ・・・。

周りを見回すと、今日はあまり人が乗っていなかったので、空いている席に座りホッと一息ついた。

走ったせいか、心臓がドキドキ音を立てている。

でも、走っただけのせい?

きっと、先生の家で誕生日会をすることになったので、緊張してドキドキしている音も混ざっていると思う。

「一緒に過ごせるの、うれしいけど、2人きりなんて緊張する・・・」

電車に揺られながら、私は再び『誕生日プレゼント』を何にするか考え始めた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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