第15話:気になる気持ち(その15)
文字数 1,894文字
「私のこの気持ちは何なのか分からないんです。
だって、こんなこと教科書や参考書に一切書かれてなかったから、どう解いていいか分からないんです」
国語、数学、英語等々、すべての科目において優秀な成績を修め、西森には不得意科目など無いと思っていた。
が、優等生にも苦手な分野があったとは!
それは、いわゆる『恋愛』の分野だ。
確かにこの科目に関しては、学校で教えてくれるモノでもないし、試験に出るわけでもないので、必ず勉強しないといけないモノでもない。
たぶん、西森もおれと接することがなければ、このまま知らなくてもよかった科目であろう。
でも、おれが余計なちょっかいを出してしまったため、突然自分の心の中に現れた『ナゾの気持ち』にどう対処していいのか困惑してしまった様子だ。
西森が困惑している『ナゾの気持ち』は、たぶんアレだと思うが・・・。
それを確かめるべく、西森の顔を再びジッと見つめてみた。
「!?」
ますます真っ赤になって顔をそらす西森。
その反応を見て、100%と言い切れる自信はまだ無いが、70%ぐらいは断言できる。
西森!
おまえ、絶対おれのことを『好き』になりかけているだろ!
いや、もう『好き』になっているかもしれない。
完全なるおれの『うぬぼれ』かもしれないが、でも、このチャンスに賭けてみる!
おれは西森の顔をソッとのぞきこみ、
「西森、その気持ち、本当に分からないの?」
と聞くと、西森は悔しそうな顔をして、コクリとうなずいた。
ここでおれが、『それは「恋愛」の感情だよ』と西森に教えてあげてもいいが、言葉で簡単に言っても納得しないだろう。
まして、プライドの高い西森だ。
絶対『違います!』と否定されて終わるだけのような気がする。
だから、ここは頭を使え。
優等生の西森が、この『恋愛』の授業科目に興味を持つように。
「西森、おれがこの前の夜に『課外授業を受けてみないか?』って言ったの覚えてる?」
西森はうなずく。
「覚えています。
課外授業受けるほど成績悪くないのに、急に先生、何を言い出すのかと思ったから・・・」
うん、おれもあの時、何で急にあんなこと言い出したのか分からなくて、超恥ずかしかったから覚えている。
「西森の中に現れた『気持ち』が何なのか、おれは今ここで簡単に説明することができるけど・・・」
そう言うと西森は、ムッとした顔をして食いついてきた。
「先生には簡単に説明できるって、どういうことですか?
これは私自身の問題なのに、なんで先生が分かるんですか?」
自分が知らないことを、おれが知っていることが西森にとっては気に入らないらしい。
やっぱり学年1位の優等生は、負けず嫌いな性格だな。
そんな西森をさらに挑発してみる。
「なんで分かるかって、それはおれの方が西森より経験豊富だからだよ。
試験で例えるとすれば、この分野に関してはおれは100点近い点数を取れるけど、西森は10点・・・よくても20点ぐらいじゃないのかなあ」
ものすごく自慢してみたけど、西森との恋愛に関しては、おれも10点取れるか取れないかのレベルだと思う。
でも、経験があるだけおれの方が上だろう。
そして案の定、おれの『10点発言』に西森は怒りをあらわした。
「10点って、そんな低い点数、ありえないでしょう!
なんです?
さっきから先生が偉そうに言っている『経験豊富な分野』って!」
おれは西森の目をじっと見つめて、
「だから、その分野を教える『課外授業』を受けてみないか?」
と言ってみた。
『課外授業』という言葉を再び使ってみたが、やはりなんだか『超いかがわしい発言』だ。
西森にしてみたら、何をされるのか分からない恐怖の授業に思えただろう。
なので、あわてて言葉をつけ足す。
「もちろん無理にとは言わないし、実際授業を受けてみて、おれの教え方が下手だと思ったら途中で辞めてもいい。
ただ・・・」
「ただ?」
「もし西森に受ける気があるとしたら、1つだけ条件があるんだ」
「条件?」
西森はその条件が何なのか、頭の中でいろいろ考えているようだ。
「条件って、教科書や参考書を買ったりすることですか?
それとも、試験があって、合格点を取らないといけないんですか?」
西森・・・、おまえ、どれだけ真面目なんだよ!
そんな純粋な目で疑うことなくおれを見つめている様子を見ると、これ以上ふり回すことが、かわいそうに思えてくるじゃないか。
でも、やっぱりこの勝負、負けたくない。
「いや、西森、別に参考書を買わなくてもいいし、試験も受けなくてもいい。
ただ、西森に『おれともっと一緒にいたい』という気持ちがあるなら・・・」
おれは勇気を出して、こう言った。
「おれを西森の(仮)の彼氏にしてくれないか?」
だって、こんなこと教科書や参考書に一切書かれてなかったから、どう解いていいか分からないんです」
国語、数学、英語等々、すべての科目において優秀な成績を修め、西森には不得意科目など無いと思っていた。
が、優等生にも苦手な分野があったとは!
それは、いわゆる『恋愛』の分野だ。
確かにこの科目に関しては、学校で教えてくれるモノでもないし、試験に出るわけでもないので、必ず勉強しないといけないモノでもない。
たぶん、西森もおれと接することがなければ、このまま知らなくてもよかった科目であろう。
でも、おれが余計なちょっかいを出してしまったため、突然自分の心の中に現れた『ナゾの気持ち』にどう対処していいのか困惑してしまった様子だ。
西森が困惑している『ナゾの気持ち』は、たぶんアレだと思うが・・・。
それを確かめるべく、西森の顔を再びジッと見つめてみた。
「!?」
ますます真っ赤になって顔をそらす西森。
その反応を見て、100%と言い切れる自信はまだ無いが、70%ぐらいは断言できる。
西森!
おまえ、絶対おれのことを『好き』になりかけているだろ!
いや、もう『好き』になっているかもしれない。
完全なるおれの『うぬぼれ』かもしれないが、でも、このチャンスに賭けてみる!
おれは西森の顔をソッとのぞきこみ、
「西森、その気持ち、本当に分からないの?」
と聞くと、西森は悔しそうな顔をして、コクリとうなずいた。
ここでおれが、『それは「恋愛」の感情だよ』と西森に教えてあげてもいいが、言葉で簡単に言っても納得しないだろう。
まして、プライドの高い西森だ。
絶対『違います!』と否定されて終わるだけのような気がする。
だから、ここは頭を使え。
優等生の西森が、この『恋愛』の授業科目に興味を持つように。
「西森、おれがこの前の夜に『課外授業を受けてみないか?』って言ったの覚えてる?」
西森はうなずく。
「覚えています。
課外授業受けるほど成績悪くないのに、急に先生、何を言い出すのかと思ったから・・・」
うん、おれもあの時、何で急にあんなこと言い出したのか分からなくて、超恥ずかしかったから覚えている。
「西森の中に現れた『気持ち』が何なのか、おれは今ここで簡単に説明することができるけど・・・」
そう言うと西森は、ムッとした顔をして食いついてきた。
「先生には簡単に説明できるって、どういうことですか?
これは私自身の問題なのに、なんで先生が分かるんですか?」
自分が知らないことを、おれが知っていることが西森にとっては気に入らないらしい。
やっぱり学年1位の優等生は、負けず嫌いな性格だな。
そんな西森をさらに挑発してみる。
「なんで分かるかって、それはおれの方が西森より経験豊富だからだよ。
試験で例えるとすれば、この分野に関してはおれは100点近い点数を取れるけど、西森は10点・・・よくても20点ぐらいじゃないのかなあ」
ものすごく自慢してみたけど、西森との恋愛に関しては、おれも10点取れるか取れないかのレベルだと思う。
でも、経験があるだけおれの方が上だろう。
そして案の定、おれの『10点発言』に西森は怒りをあらわした。
「10点って、そんな低い点数、ありえないでしょう!
なんです?
さっきから先生が偉そうに言っている『経験豊富な分野』って!」
おれは西森の目をじっと見つめて、
「だから、その分野を教える『課外授業』を受けてみないか?」
と言ってみた。
『課外授業』という言葉を再び使ってみたが、やはりなんだか『超いかがわしい発言』だ。
西森にしてみたら、何をされるのか分からない恐怖の授業に思えただろう。
なので、あわてて言葉をつけ足す。
「もちろん無理にとは言わないし、実際授業を受けてみて、おれの教え方が下手だと思ったら途中で辞めてもいい。
ただ・・・」
「ただ?」
「もし西森に受ける気があるとしたら、1つだけ条件があるんだ」
「条件?」
西森はその条件が何なのか、頭の中でいろいろ考えているようだ。
「条件って、教科書や参考書を買ったりすることですか?
それとも、試験があって、合格点を取らないといけないんですか?」
西森・・・、おまえ、どれだけ真面目なんだよ!
そんな純粋な目で疑うことなくおれを見つめている様子を見ると、これ以上ふり回すことが、かわいそうに思えてくるじゃないか。
でも、やっぱりこの勝負、負けたくない。
「いや、西森、別に参考書を買わなくてもいいし、試験も受けなくてもいい。
ただ、西森に『おれともっと一緒にいたい』という気持ちがあるなら・・・」
おれは勇気を出して、こう言った。
「おれを西森の(仮)の彼氏にしてくれないか?」