第12話:二人きりの夜(その12)
文字数 819文字
外ではまだ雨が、激しくザーザー音を立てながら降っている。
雨音を聞きながら、おれはしばらく西森を抱きしめていた。
西森がふいに、
「先生・・・?」
と声を出した。
おれは西森の髪の毛をなでながら、
「本当は、こんなことしちゃダメなんだよな・・・。
おれと西森は、先生と生徒だから。
でも、水野君が西森の彼氏だったら、問題ではないんだよな。」
とつぶやいた。
すると西森が、
「え?」
と言って、少し振り返っておれの顔をのぞきこむ。
おれは少し微笑んで、
「おれと付き合っている以上、西森は普通の学生たちがしているような恋愛が出来ないわけじゃん。
デートも人目が付くところは行けないし、学校でも最低限の話しかできないし。
でも、水野君とだったら、人目をはばからない普通の恋愛ができるわけだから、西森もそっちの方が幸せなのかな、と考えてしまって、つい告白を勧めてしまったというか・・・」
と、自分の素直な気持ちを西森に伝えた。
西森はじっとしたまま、おれの話を聞いている。
「だから賭けでもあったかな」
「賭け?」
どういう意味か分からず、西森がちょこっと首をかしげた。
「うん、賭け。
西森がおれのことを少しでも気にしてくれているのであれば、水野君を選ばない。
でも、おれのことなんてどうでもいいのであれば、水野君を選ぶかもしれない。
だから、賭けてみた。
西森が『おれ』のことを選んでくれるのを。」
そう言った直後、ちょっと後悔した。
というのも、今の発言は「おれ」を選ぶか「水野君」を選ぶか、西森に強制しているような感じだったからだ。
なのであわてて、
「といっても、今すぐ『どちらかを選べ』と言ってるわけでもないし、どちらとも選ばなくてもいいし・・・」
と訂正しようとした時、西森の携帯電話が「ピピピピ!」と鳴った。
西森は、後ろから抱きしめていたおれの腕を振りほどいて、あわてて携帯に手を伸ばす。
そして、画面に表示されていた着信元の相手を見て、
「あ、水野からだ」
と言って、おれの顔をチラッと見た。
雨音を聞きながら、おれはしばらく西森を抱きしめていた。
西森がふいに、
「先生・・・?」
と声を出した。
おれは西森の髪の毛をなでながら、
「本当は、こんなことしちゃダメなんだよな・・・。
おれと西森は、先生と生徒だから。
でも、水野君が西森の彼氏だったら、問題ではないんだよな。」
とつぶやいた。
すると西森が、
「え?」
と言って、少し振り返っておれの顔をのぞきこむ。
おれは少し微笑んで、
「おれと付き合っている以上、西森は普通の学生たちがしているような恋愛が出来ないわけじゃん。
デートも人目が付くところは行けないし、学校でも最低限の話しかできないし。
でも、水野君とだったら、人目をはばからない普通の恋愛ができるわけだから、西森もそっちの方が幸せなのかな、と考えてしまって、つい告白を勧めてしまったというか・・・」
と、自分の素直な気持ちを西森に伝えた。
西森はじっとしたまま、おれの話を聞いている。
「だから賭けでもあったかな」
「賭け?」
どういう意味か分からず、西森がちょこっと首をかしげた。
「うん、賭け。
西森がおれのことを少しでも気にしてくれているのであれば、水野君を選ばない。
でも、おれのことなんてどうでもいいのであれば、水野君を選ぶかもしれない。
だから、賭けてみた。
西森が『おれ』のことを選んでくれるのを。」
そう言った直後、ちょっと後悔した。
というのも、今の発言は「おれ」を選ぶか「水野君」を選ぶか、西森に強制しているような感じだったからだ。
なのであわてて、
「といっても、今すぐ『どちらかを選べ』と言ってるわけでもないし、どちらとも選ばなくてもいいし・・・」
と訂正しようとした時、西森の携帯電話が「ピピピピ!」と鳴った。
西森は、後ろから抱きしめていたおれの腕を振りほどいて、あわてて携帯に手を伸ばす。
そして、画面に表示されていた着信元の相手を見て、
「あ、水野からだ」
と言って、おれの顔をチラッと見た。