第3話:二人の夏休み(その3)

文字数 902文字

『先生、今日の夜、一緒にご飯食べませんか?』

西森から、まさかの「晩ごはんデート(?)」のお誘いにおれは動揺を隠しきれなかった。

「え?え?
どういうこと?
今日、家族は留守で西森一人なの?」

理由はよく分からないけれど、西森の誘いをおれが断るわけがない!

急いで、
『もちろんOK!
詳しいことは、また後で連絡する!』
と西森にメールを送ると、おれは天文部の部活にウキウキしながら向かった。

どこのお店にしようかな?

人目に触れないような個室のあるオシャレなお店とかどうかな?

知っているお店に行ってもいいけど、後でネットで検索してみれもいいかも・・・。

そんな感じ部活中もずっとウキウキしていたのだが、天文部の活動を終えて帰ってくると、西森から再びメールが届いていた。

「えーと・・・なになに・・・」

メールを開くと、
『晩ごはんですが、
先生と前に一緒に行ったラーメン屋さんでいいでしょうか?』
と書いてあり、思わずおれは叫んだ。

「ええっ!?
また『スタミナ大王』でいいわけ!?
何なの!?ラーメン好きなの!?
せっかくオシャレなお店で美味しいモノを食べようと思っていたのに、またしても、あのラーメン屋とは・・・。」

『スタミナ大王』のお店は、おれと西森の家の近所のラーメン屋さんで、前に1回一緒に食べに行ったことがある。

メガ盛りサイズのラーメンが売りで、食べ盛りの『男子高校生&大学生』に人気のお店なので、全くオシャレでもないし、どちらかというと店内は油汚れ等で汚い・・・。

まあ、味に関しては、どの料理も旨いから満足度は高いのだけれども・・・。

「はあ・・・
せっかくの久しぶりのデートなのに・・・」

オシャレなお店に行けなくて、ちょっとガッカリもしたが、でも場所なんて関係ないじゃないか!

西森と一緒にご飯を食べられるだけでもありがたいと思わないと、罰が当たるぞ!

おれは気持ちを切り替え、急いで返事を送った。

『了解!
大将にはおれから連絡入れておくから、2階の個室で待っていてくれ。
超特急で仕事終わらせて、すぐに行くから!』

そう、あのラーメン屋には2階にナゾの個室が2部屋あるのだ。

確か・・・
『ラーメン』と『ぎょうざ』っていう名前の個室だったっけ?

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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