第9話:ドキドキ初デート(その9)
文字数 1,848文字
待ちに待った日曜がやってきた。
天気は快晴で、絶好のデート日和!
おれは朝早くから起きて、昨日の夜に選んでいた洋服の中からどれを着ていくかで悩んでいた。
西森に合わせて、少し若作りをするべきか、それとも大人の雰囲気を漂わせて、西森をリードするべきか・・・。
あと重要なことが1つ。
西森と(仮)だけど付き合っていることは、絶対に誰にもバレてはいけない。
そのためには、ちょっとばかり変装した方がいいのかと思い、コンタクトを外し、いつもはかけないメガネを装着してみた。
「うーん・・・
あまり変わらないけど、何もしないよりマシかな・・・」
鏡に映った自分の顔をじっと見つめながら、あれこれいろいろと考えてみる。
その様子は、まるで初デートに何を着ていくかで悩んでいる女子のようだ。
そんなおれとは対照的に、西森はあまり何も考えてなさそうだ。
昨日、西森から
『プラネタリウム、制服で行っていいんですか?』
というメールが届き、一瞬焦った。
もちろん、制服姿の西森も好きではあるが、それだと本当に学校の課外授業で生徒を引率してきている先生のようだし、女子高生を連れ回している怪しい男のようにも見えそうなので、そこはやんわりと西森に断りを入れた。
『制服も悪くはないですが、できれば私服がありがたいです』
とメールを送ったら、
『じゃあ、適当な服装で行きます』と。
適当な服装・・・。
気合の入っているおれとは逆に、全く気合の入ってない西森。
うん、それでもおれは幸せだから、西森が気合入ってなくてもうれしいです。
そんな感じでアレコレ悩んでいると、時計はすでに午前9時を回っていた。
「やべっ、そろそろ出かけないと!
9時半の待ち合わせに間に合わないぞ!」
結局、白いシャツの上にジャケットを羽織るという無難なファッションでおれは家を飛び出した。
駐車場にとめている車に乗り込み、エンジンをかける。
西森とは家が近所だが、この付近だと誰か知り合いに見られると困るため、3駅先にある某公園の駐車場を待ち合わせ場所にしたのだ。
待ち合わせ場所に着くまで、ドキドキ・ハッピー感と緊張で胸がいっぱいでハンドルを握る手が自然と汗ばむ。
ただただ、『素敵な1日』になることを願っていると、あっという間に待ち合わせ場所に到着し、おれは車を止めてキョロキョロと西森を探した。
一瞬『いなかったら、どうしよう』という不安に襲われたが、ふいに『コンコン』と後ろのドアをノックする音が聞こえる。
あわてて振り返ると、そこには西森がいた。
「西森!」
「先生、おはようございます」
西森は、紺色のカーディガンを羽織り、膝丈ぐらいのタイトスカートをはいていた。
同い年ぐらいのオシャレに敏感な女子高生と比べると、地味なファッションなのかもしれないが、清楚な感じが西森にピッタリで、似合っている。
初めて見る私服姿に見とれて、ポーッとしていると、
「先生、何ボーっとしているんですか?
早くカギを開けてください!」
と、西森にせかされた。
「あ、ごめん、ごめん!今、開ける!」
カギを開けると、西森は後ろのドアを開けて車の中にソッと乗り込んだ。
「え?助手席に座らないの?」
てっきり助手席に座ってくれるものと思っていたのに、迷いもなく後ろの席に座ったため、おれは思わず悲しそうな声で聞いてしまった。
すると西森は、
「先生、当たり前じゃないですか。
まだここは街中ですし、どこで誰が見てるかも分からないのに、堂々とそんな目立つことできません。
バレたら先生のクビだって、ありえるんですからね!
それに・・・」
と言いながら、カバンに手を突っ込み、
「私、しばらくリスニングの勉強をしているので目的地が近づいたら声をかけてください」
と、参考書とiPodを取り出し、勉強をし始めてしまった。
ガーン!?
ウソだろ!?
昨日の夜から楽しいドライブデートを思い描いてなかなか眠れなかったのに、西森は勉強をするのか!?
あまりのショックな出来事に、泣きそうになった。
なんだ、これ・・・。
どう考えても、今のおれは、娘を目的地まで車で連れて行っている父親のようじゃないか。
違う・・・
おれが思い描いていたようなデートとは全く違う!
そう心の中で叫んではみたが、でも、仕方ない。
来週、模試があるのにそれでもなんとか都合をつけて、西森は今日おれに付き合ってくれているんだから。
それなのに『助手席に座ってくれない!』なんて文句を言ったら罰が当たるに違いない。
おれは自分にそう言い聞かせ、心を落ち着かせると、再びハンドルを握りしめ、目的地に向かって走り出した。
天気は快晴で、絶好のデート日和!
おれは朝早くから起きて、昨日の夜に選んでいた洋服の中からどれを着ていくかで悩んでいた。
西森に合わせて、少し若作りをするべきか、それとも大人の雰囲気を漂わせて、西森をリードするべきか・・・。
あと重要なことが1つ。
西森と(仮)だけど付き合っていることは、絶対に誰にもバレてはいけない。
そのためには、ちょっとばかり変装した方がいいのかと思い、コンタクトを外し、いつもはかけないメガネを装着してみた。
「うーん・・・
あまり変わらないけど、何もしないよりマシかな・・・」
鏡に映った自分の顔をじっと見つめながら、あれこれいろいろと考えてみる。
その様子は、まるで初デートに何を着ていくかで悩んでいる女子のようだ。
そんなおれとは対照的に、西森はあまり何も考えてなさそうだ。
昨日、西森から
『プラネタリウム、制服で行っていいんですか?』
というメールが届き、一瞬焦った。
もちろん、制服姿の西森も好きではあるが、それだと本当に学校の課外授業で生徒を引率してきている先生のようだし、女子高生を連れ回している怪しい男のようにも見えそうなので、そこはやんわりと西森に断りを入れた。
『制服も悪くはないですが、できれば私服がありがたいです』
とメールを送ったら、
『じゃあ、適当な服装で行きます』と。
適当な服装・・・。
気合の入っているおれとは逆に、全く気合の入ってない西森。
うん、それでもおれは幸せだから、西森が気合入ってなくてもうれしいです。
そんな感じでアレコレ悩んでいると、時計はすでに午前9時を回っていた。
「やべっ、そろそろ出かけないと!
9時半の待ち合わせに間に合わないぞ!」
結局、白いシャツの上にジャケットを羽織るという無難なファッションでおれは家を飛び出した。
駐車場にとめている車に乗り込み、エンジンをかける。
西森とは家が近所だが、この付近だと誰か知り合いに見られると困るため、3駅先にある某公園の駐車場を待ち合わせ場所にしたのだ。
待ち合わせ場所に着くまで、ドキドキ・ハッピー感と緊張で胸がいっぱいでハンドルを握る手が自然と汗ばむ。
ただただ、『素敵な1日』になることを願っていると、あっという間に待ち合わせ場所に到着し、おれは車を止めてキョロキョロと西森を探した。
一瞬『いなかったら、どうしよう』という不安に襲われたが、ふいに『コンコン』と後ろのドアをノックする音が聞こえる。
あわてて振り返ると、そこには西森がいた。
「西森!」
「先生、おはようございます」
西森は、紺色のカーディガンを羽織り、膝丈ぐらいのタイトスカートをはいていた。
同い年ぐらいのオシャレに敏感な女子高生と比べると、地味なファッションなのかもしれないが、清楚な感じが西森にピッタリで、似合っている。
初めて見る私服姿に見とれて、ポーッとしていると、
「先生、何ボーっとしているんですか?
早くカギを開けてください!」
と、西森にせかされた。
「あ、ごめん、ごめん!今、開ける!」
カギを開けると、西森は後ろのドアを開けて車の中にソッと乗り込んだ。
「え?助手席に座らないの?」
てっきり助手席に座ってくれるものと思っていたのに、迷いもなく後ろの席に座ったため、おれは思わず悲しそうな声で聞いてしまった。
すると西森は、
「先生、当たり前じゃないですか。
まだここは街中ですし、どこで誰が見てるかも分からないのに、堂々とそんな目立つことできません。
バレたら先生のクビだって、ありえるんですからね!
それに・・・」
と言いながら、カバンに手を突っ込み、
「私、しばらくリスニングの勉強をしているので目的地が近づいたら声をかけてください」
と、参考書とiPodを取り出し、勉強をし始めてしまった。
ガーン!?
ウソだろ!?
昨日の夜から楽しいドライブデートを思い描いてなかなか眠れなかったのに、西森は勉強をするのか!?
あまりのショックな出来事に、泣きそうになった。
なんだ、これ・・・。
どう考えても、今のおれは、娘を目的地まで車で連れて行っている父親のようじゃないか。
違う・・・
おれが思い描いていたようなデートとは全く違う!
そう心の中で叫んではみたが、でも、仕方ない。
来週、模試があるのにそれでもなんとか都合をつけて、西森は今日おれに付き合ってくれているんだから。
それなのに『助手席に座ってくれない!』なんて文句を言ったら罰が当たるに違いない。
おれは自分にそう言い聞かせ、心を落ち着かせると、再びハンドルを握りしめ、目的地に向かって走り出した。