第8話:先生のお誕生日(その39)

文字数 690文字

唇に触れた瞬間、全身に熱い衝撃が走った。

何秒ぐらい口付けをしていたのかは分からない。
ただただ甘い感覚に溺れていた。

そっと唇を離す。

私は先生の瞳を見つめ、
「・・・大好きですよ」
とつぶやいた。

「夏菜・・・」

驚いたような顔で、じっと私を見つめている先生の顔を見ていると、急に我に返り、めちゃくちゃ恥ずかしくなってきた。

私はあわてて起き上がり、
「わわわわわ!?
すっ、すいません!!
私ったら、いったい何を!?」
と叫んで、部屋の隅っこの方に走って逃げ、先生に背を向けてしゃがみこんだ。

ほんとに、何やってんの!?
ど、どうして、急にキスなんかしちゃったの!?
ああああ~っ!
完全に雰囲気にのまれちゃった!!
絶対、先生、あきれ返っちゃってるよ~っ!!

自分がやったことに対して、後悔と恥ずかしさが波のように押し寄せて来て、今すぐにでもこの部屋から飛び出して行きたい気分だ。

半泣き状態で、部屋の隅で縮こまっていると、急に後ろから、
「なんで、あやまるの?」
と言って、先生が抱きしめてきた。

「え・・・?」

先生は私の頬、首に優しくキスをしながら、
「夏菜の方からキスしてくれて、おれ、すっげーうれしかったんだから」
と耳元でささやく。

「う・・・うれしかった?
うそ・・・だって、私、バカなことやったから、てっきり呆れられたと思ったのに・・・」

そう私が言うと、先生は、
「呆れるわけないだろ?
だって、おれ、ずっとずーっと夏菜にキスしたい衝動を抑え込んできてたんだから」
と答える。

私は驚いて、
「え?
先生、ずっと私にキスしたいって思ってたって・・・」
と聞こうとしたら、今度は先生が私の言葉をふさぐかのように、唇を重ねてきた。

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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