第5話:苦手な優等生(その5)
文字数 1,018文字
おれの目の前にいる西森夏菜は見た目は、どこにでもいるような普通の女子高校生だ。
ただ、今時のおしゃれ女子みたいに化粧をしたり、かわいい髪型に挑戦したり等の飾り気は全くない。
制服も着崩すことなく、校則をきちんと守った清楚な制服姿が西森のスタイルだ。
キリッとした表情が真面目さと知的さを物語っていて、男側からすると、隙がなくて近寄りがたい女子の部類に入る。
さらに、いつも無表情か怒った顔しか見せてないので、気軽に声さえかけられない。
でも・・・
西森もニコッと笑えば、年相応のかわいい女の子になると思うのだが・・・。
いやいや、今はそんなことを考えている場合ではなく、お説教タイムである。
「ええと・・・、西森、 長くなる話なら職員室で聞くけど・・・」
「いえ、 そんなにお時間は取らせませんから 」
「は・・・はい・・・」
女子高生に威圧されるおれ。
西森はおれをにらみながら話し始めた。
「授業のことなんですけど、 生徒達から邪魔されても スムーズに進めてくれませんか?
いちいち中断していたら、 どんどん遅れが生じてきて こっちに迷惑がかかっているんです。」
はい、おっしゃる通りです・・・。
「文系だからって、 甘く見ないでくださいよ。
大学受験には必要な教科なんですから」
西森にズバズバと 自分の「悪い点」を指摘され、心がズキズキ痛む。
そして、ただただ謝るしかなかった。
「ご・・・ごめん・・・ 」
西森はもう一度キッとおれをにらみつけて、
「以後、気をつけてくださいね!」
と強い口調で言うと、ツカツカと歩いて教室に戻っていった。
こ・・・怖かった・・・。
先生なのに、 生徒にこてんぱんに叩き潰されるとは ほんと情けない。
でも、西森の言う通り 授業も少し遅れているし、生徒達に迷惑をかけていることも確かだ。
がっくりと肩を落としていると、
「あ、高山ちゃん! 夏菜にお説教されていたの?」
と、クラスの女子たちが
わらわらとおれの周りに集まりだした。
「別に説教されていたわけじゃねーよ」
「じゃあ何を話していたの?」
「授業をスムーズにやってくれないか、 っていうお願いだ」
「それ、説教じゃん」
ま、確かに説教だったが・・・。
「でも、ま、 夏菜は勉強に必死だからね、 私達と違って。」
一人の女子が何気につぶやいた。
確かに、西森の勉強にかける熱意は他の生徒以上のものがあることには気づいていたが、どういう背景が隠されているかまでは おれは知らなかった。
ただ、今時のおしゃれ女子みたいに化粧をしたり、かわいい髪型に挑戦したり等の飾り気は全くない。
制服も着崩すことなく、校則をきちんと守った清楚な制服姿が西森のスタイルだ。
キリッとした表情が真面目さと知的さを物語っていて、男側からすると、隙がなくて近寄りがたい女子の部類に入る。
さらに、いつも無表情か怒った顔しか見せてないので、気軽に声さえかけられない。
でも・・・
西森もニコッと笑えば、年相応のかわいい女の子になると思うのだが・・・。
いやいや、今はそんなことを考えている場合ではなく、お説教タイムである。
「ええと・・・、西森、 長くなる話なら職員室で聞くけど・・・」
「いえ、 そんなにお時間は取らせませんから 」
「は・・・はい・・・」
女子高生に威圧されるおれ。
西森はおれをにらみながら話し始めた。
「授業のことなんですけど、 生徒達から邪魔されても スムーズに進めてくれませんか?
いちいち中断していたら、 どんどん遅れが生じてきて こっちに迷惑がかかっているんです。」
はい、おっしゃる通りです・・・。
「文系だからって、 甘く見ないでくださいよ。
大学受験には必要な教科なんですから」
西森にズバズバと 自分の「悪い点」を指摘され、心がズキズキ痛む。
そして、ただただ謝るしかなかった。
「ご・・・ごめん・・・ 」
西森はもう一度キッとおれをにらみつけて、
「以後、気をつけてくださいね!」
と強い口調で言うと、ツカツカと歩いて教室に戻っていった。
こ・・・怖かった・・・。
先生なのに、 生徒にこてんぱんに叩き潰されるとは ほんと情けない。
でも、西森の言う通り 授業も少し遅れているし、生徒達に迷惑をかけていることも確かだ。
がっくりと肩を落としていると、
「あ、高山ちゃん! 夏菜にお説教されていたの?」
と、クラスの女子たちが
わらわらとおれの周りに集まりだした。
「別に説教されていたわけじゃねーよ」
「じゃあ何を話していたの?」
「授業をスムーズにやってくれないか、 っていうお願いだ」
「それ、説教じゃん」
ま、確かに説教だったが・・・。
「でも、ま、 夏菜は勉強に必死だからね、 私達と違って。」
一人の女子が何気につぶやいた。
確かに、西森の勉強にかける熱意は他の生徒以上のものがあることには気づいていたが、どういう背景が隠されているかまでは おれは知らなかった。