第8話:教育実習生にメラメラ(その8)

文字数 1,050文字

キーンコーンカーンコーン

先生にちょっと抱きしめられた翌日、今日もいつものように学校に登校する。

「今日は地学の授業が無いから、大丈夫。
平常心で過ごせる!」

昨日、抱きしめられた後の5時間目は、体育の授業だったけど、気持ちがどこかフワフワしていて、いつも以上に運動神経の無さを露呈してしまったからなあ・・・。

だって抱きしめられた時、すぐに先生から離れようとしたのに、なぜかお互い、じっとそのままの体勢で、チャイムの音であわてて離れた感じだったから・・・。

昨日のことを思い出すと、再びドキッとして顔が真っ赤になりそうだったので、「バンバン!」と頬を叩き気合を入れる。

今日は塾でミニ試験もあるし、心を乱している場合では無いのだ!

と、先生のことを忘れて、朝のホームルームが始まるのを待っていた。

ガラッとドアが開き、「おはよう」と担任の吉川先生が姿を見せる。

いつも見慣れている光景だけど、今日は違っていて、吉川先生の後から女の人が1人教室に入って来た。

年齢は20歳ぐらい?

フワっとした髪型で、ぱっちりとした目元。

とっても美人で、男子が
「誰だ?あのキレイな人は!」
と騒ぎ出した。

吉川先生が、
「えー、今日から教育実習でやって来た『中原みのり』先生だ。
2週間ほど、みんなと一緒に勉強するから仲良くするように」
と簡単に紹介する。

教育実習生・・・
つまりは大学生ってことか。

紹介された中原先生は、
「中原みのりです。
担当は『国語』になります。
よろしくお願いします。」
と言って、ペコリとお辞儀をした。

「めっちゃラッキーじゃん!
あんな美人の先生がうちのクラスに来るなんて!」

周りを見ると、男子達がメロメロになっている様子だ。

改めて中原先生を見てみる。

声もかわいいし、はにかんだ笑顔もかわいい・・・。

服装も清楚で、お化粧も派手過ぎず、ナチュラルで、間違いなく男の人受けが良さそう・・・。

そんなことを考えていると、後ろの席の女子達がボソボソと何かしゃべっているのが聞こえてきた。

「これはヤバいわよね」

「確かにヤバいかも」

何がヤバいのか気になって、思わず聞いてしまった。

「何がヤバいの?」

すると女子達は、
「うちのクラスを担当するってことは、副担任の高山ちゃんとも関わることが多いってこと。
あの手の女のタイプだったら、高山ちゃんもコロッとだまされて、恋愛関係とかまでに発展するかもしれないもん」
と言った。

「えっ!?」

思いもよらなかったことを女子達に指摘され、私はビックリしてしまった。

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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