第8話:先生のお誕生日(その9)

文字数 680文字

「先生のお誕生日、一緒に過ごしてもいいですよ!」

思わずそう言ってしまった。

『全くそんな気は無かったのに』という気持ちと、『誕生日、一緒に過ごしたい』という2つの気持ちが自分の中で存在していたと思うけど、結局『一緒に過ごしたい』という気持ちが勝ってしまったみたいだ。

先生は驚いた顔で、
「ええっ!?
本当にいいの!?」
と聞いたので、私はコクリとうなずく。

「やばい・・・めちゃくちゃうれしい・・・」

先生がそうつぶやき、抱きついている私の背中に手を回そうとした時、廊下から、
「5時間目、始まっちゃうぞ!
早く教室に戻らなきゃ!」
と言って、生徒達がバタバタ走って行く音が聞こえてきた。

それで私も『ハッ』と我に返り、
「あ、5時間目、始まっちゃいますね。
私も教室に戻って、準備しなきゃ」
と言って先生から離れると、先生も、
「そうだな、おれも次授業があるし」
と言った。

何となく離れがたかったけど、仕方が無いので、2人で資料室から出る。

運よく、外には誰もいなかったので、先生が、
「じゃ、またメールか電話して。
誕生日のこと・・・またちゃんと決めたいから」
と言ったので、私もうなずき、
「は、はい、分かりました。
また連絡します」
と言って、その場を離れた。

心臓がまだドキドキ鳴っている。

「ど・・・どうしよう・・・。
誕生日、一緒に過ごしたいって言っちゃって、先生迷惑じゃなかったかな・・・」
と、一瞬不安になったけど、さっき先生が『めちゃくちゃうれしい』と言ってくれていたので、その言葉を信じよう。

一緒に過ごせるのはうれしいけど・・・

「誕生日会って何をやったらいいんだろう?」
と私は首をかしげた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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