第7話:苦手な優等生(その7)

文字数 654文字

「は~、今日も疲れた・・・」

放課後、残った仕事を片付けて学校を出たら もう夜の9時になろうとしていた。

これから家に帰って、 明日の授業の段取りなどをしていたら すぐに寝る時間になるだろう。

だから家まで帰るこの時間が おれの唯一のリラックスタイムでもある。

夜空を見上げると 無数の星たちが小さな光を放っている。

今夜は空気が澄んでいるせいか いつも以上に星がきれいに見えて おれの心は和んだ。

やっぱり都会じゃなくて、 地方の教師を選んで正解だったな。 都会だと街の光で 星の光がかすんで見えるから。

子供の頃、 誕生日プレゼントに天体望遠鏡を買ってもらって以来、 ずっと星が好きで、 大学でも天文学を勉強し、 今こうやって好きなことに関係した仕事に就けたことは ありがたいといえば、ありがたいことだよな。

ま、失敗の連続で 生徒に説教されまくっているけれども・・・。

そんなことをぼんやり考えながら帰り道を歩いていると 、近所の公園のベンチに誰かが座っているのに気づいた。

ん?
あれは・・・女の子?

しかも、うちの学校の制服!?

夜の9時に1人で公園のベンチに座っているなんて、変な人が現れたらどうするんだ!

そんな焦りを感じて、思わず駆け寄った。

「おい!そこで何してー 」

街灯に照らされた女の子の顔を見ておれはびっくりする。

「西森!?」

「先生!? 」

突然おれが現れたものだから、西森は驚いた表情を見せた。

おれもまさかこんな所で西森と出会うとは全く考えもしなかったので、しばらくポカーンと顔を見合わせていた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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