第15話:教育実習生にメラメラ(その15)

文字数 550文字

「分かった、そこでちょっと待ってて。
今から車で迎えに行くから。」
と、先生が突然言い出したので、ビックリする。

「いや、来ないで下さい!
同じ学校の子も塾に通っているから、バレてしまうと困りますから!」

本当に同じ学校の生徒達が塾に通っているので、先生が迎えに来たら、誰かに見られるかもしれないと思うと、怖くて「来てください」なんて言えない。

でも先生は、
「塾から少し離れた場所なら大丈夫だろ?
今すぐ行くから、少し塾の中で待っていてくれないか?
着いたらすぐに電話するから」
と言うので、
「いやいや、本当に来なくて大丈夫ですから!」
と必死に断った。

でも、先生は急に真剣な声で、
「行くよ。
だって、西森に会いたいから」
と一言。

『会いたいから』

その言葉が、妙に心臓に突き刺さって、頬がカーッと真っ赤になっていくのを感じた。

携帯からは「ツーツーツー」と電話が切れた音が鳴っている。

私は携帯電話の画面を見つめたまま、しばらくボーっとその場に立ち尽くしていた。

先生に謝ろうと思って電話をかけたのに、なぜか車で迎えに来てくれる展開になるなんて・・・。

私はしばらく魂が抜けたように「ポカ~ン」としていた。

が、すぐにハッと我に返ると、
「ど、どうしよう!?
どこか目立たない場所ってこの辺にあったっけ?」
と辺りをキョロキョロと見回した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み