第7話:二人の夏休み(その29)
文字数 1,125文字
森の中で、遭難しかかっていた時にたどり着いた場所が『お宿:さつき荘』だった。
「こんなところに宿があったのか?」
車で山道を登って来た時には、宿に全く気が付かなかった。
もしかすると、大きな道路沿いではなく、一本奥に入った場所にあるのかもしれない。
いずれにせよ、ここに建っていてくれて助かった!
すると西森が、
「そういえば、前に先生と『青少年自然の館』までドライブした時、道路沿いにホテルをいくつか見かけましたよね。
こんな山の中ですが、意外と宿泊施設が多いのかもしれないですね。」
と、つぶやいた。
ホテル・・・
そうだ!思い出した!
あのデートの時、西森が『お城のような形』をしたホテルに興味を持って、めちゃくちゃ返答に困ったんだよな!
あっちのホテルは、西森が考えているようなホテルとは全然違うモノだけど、この『さつき荘』は外観からして、普通のお宿のような気がする。
でも、こんな山奥にひっそりと建っているので、密会とかにはちょうどいい宿なのかもしれない。
人に知られちゃまずいような、ヒミツの関係とか・・・。
はっ、おれと西森もそんな関係だが。
「とりあえず、中で休憩させてもらおう!」
おれは、西森の手を引っ張って玄関に向かった。
雨が止むまでで、なんとか宿の中で雨宿りさせてもらえないだろうか、と願いながら。
「ごめんください・・・」
恐る恐る玄関の扉を開けて中の様子を見てみた。
こじんまりとしたロビーには、ソファーが配置され、台の上にはキレイな花が活けられた花瓶がドンと置かれている。
豪華な旅館の華やかなロビーに比べると、やはり地味には感じられるものの、どこか懐かしい雰囲気もあり居心地が良さそうなお宿だ。
声をかけてみたが反応が無かったので、今度はもう少し大きな声で、
「ごめんください」
と呼んでみると、
「はい?」
と奥のドアから、40代ぐらいの女性が出てきた。
女の人は、びしょ濡れで玄関に立っているおれ達を見るや否や、
「まあ!どうされました!?
そんなに雨に降られてしまって!」
と驚きの声をあげた。
驚くのも無理はない。
森の中をさまよっていたおかげで、おれも西森も頭から靴の先まで雨でビッショリの姿だからだ。
おれは顔をしたたる水をぬぐいながら、
「ちょっと道に迷ってしまって、この状態なんです。
もし可能でしたら、少しの間、雨宿りさせてもらえますか?」
と聞いてみた。
すると女の人は、
「もちろん構いませんが、この雨、まだ深夜遅くまで降り続くみたいですよ。
雨宿りと言わず、もしよかったら泊っていったらどうですか?
今日はお部屋も空いていますし、それにそんなに濡れたままの状態じゃ風邪ひいてしまいますし。」
と「宿泊」をすすめてきたので、思わず、
「えっ、宿泊!?」
と驚いて声をあげてしまった。
「こんなところに宿があったのか?」
車で山道を登って来た時には、宿に全く気が付かなかった。
もしかすると、大きな道路沿いではなく、一本奥に入った場所にあるのかもしれない。
いずれにせよ、ここに建っていてくれて助かった!
すると西森が、
「そういえば、前に先生と『青少年自然の館』までドライブした時、道路沿いにホテルをいくつか見かけましたよね。
こんな山の中ですが、意外と宿泊施設が多いのかもしれないですね。」
と、つぶやいた。
ホテル・・・
そうだ!思い出した!
あのデートの時、西森が『お城のような形』をしたホテルに興味を持って、めちゃくちゃ返答に困ったんだよな!
あっちのホテルは、西森が考えているようなホテルとは全然違うモノだけど、この『さつき荘』は外観からして、普通のお宿のような気がする。
でも、こんな山奥にひっそりと建っているので、密会とかにはちょうどいい宿なのかもしれない。
人に知られちゃまずいような、ヒミツの関係とか・・・。
はっ、おれと西森もそんな関係だが。
「とりあえず、中で休憩させてもらおう!」
おれは、西森の手を引っ張って玄関に向かった。
雨が止むまでで、なんとか宿の中で雨宿りさせてもらえないだろうか、と願いながら。
「ごめんください・・・」
恐る恐る玄関の扉を開けて中の様子を見てみた。
こじんまりとしたロビーには、ソファーが配置され、台の上にはキレイな花が活けられた花瓶がドンと置かれている。
豪華な旅館の華やかなロビーに比べると、やはり地味には感じられるものの、どこか懐かしい雰囲気もあり居心地が良さそうなお宿だ。
声をかけてみたが反応が無かったので、今度はもう少し大きな声で、
「ごめんください」
と呼んでみると、
「はい?」
と奥のドアから、40代ぐらいの女性が出てきた。
女の人は、びしょ濡れで玄関に立っているおれ達を見るや否や、
「まあ!どうされました!?
そんなに雨に降られてしまって!」
と驚きの声をあげた。
驚くのも無理はない。
森の中をさまよっていたおかげで、おれも西森も頭から靴の先まで雨でビッショリの姿だからだ。
おれは顔をしたたる水をぬぐいながら、
「ちょっと道に迷ってしまって、この状態なんです。
もし可能でしたら、少しの間、雨宿りさせてもらえますか?」
と聞いてみた。
すると女の人は、
「もちろん構いませんが、この雨、まだ深夜遅くまで降り続くみたいですよ。
雨宿りと言わず、もしよかったら泊っていったらどうですか?
今日はお部屋も空いていますし、それにそんなに濡れたままの状態じゃ風邪ひいてしまいますし。」
と「宿泊」をすすめてきたので、思わず、
「えっ、宿泊!?」
と驚いて声をあげてしまった。