第9話:風邪をひいた日の話(その23)

文字数 590文字

夏菜はカバンからエプロンを取り出すと、服の上に装着した。

ピンク色のワンピースの上に、真っ白のフリルの付いたエプロン姿で、
「もうちょっと待っててくださいね」
と、おれに声をかけた。

ちょ・・・ちょっと待って・・・
可愛すぎるんですけど!!

いつも学校で制服姿しか見ないから、こんな反則技の衣装はないでしょ!

というか、そんなフリルの付いたかわいいエプロン、なんで持ってるの!?

まさか、おれのために買った・・・とは思わないけど、やばい!
やばすぎる!!

こんなの『新婚シチュエーション』じゃん!!

本当に結婚しているんだったら、おれは間違いなく、今すぐ夏菜を後ろから抱きしめていると思う。

でも、まだ結婚してないからガマンしてるけど!!

夏菜の萌え姿に、せっかく下がった熱がまた急上昇しそうで、おれは枕に顔をうずめた。

夏菜の料理姿を見たいけど、なるべく見ないようにしよう!

見ると、変な欲求がムクムクとわいてきて、何をしでかすか分からない!

だから、見なければ、きっとガマンできると思う!!

まるで修行僧かのように、心を『無』にして必死に耐えているおれの状況など知らない夏菜は、
「フンフンフン~♪」
と鼻歌を歌っている。

ああ・・・
もう全部が可愛すぎて、好きだ・・・。

姿を見ないようにガマンしていたけど、やっぱりガマンできず、チラッと様子を見てみる。

すると、夏菜が、
「どうしよう・・・」
と、迷ったような声を出した。

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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