第14話:トキメキ文化祭 

文字数 818文字

西森に電話をかける。

数秒後のコール音の後、
「ハイ」
と西森が電話に出た。

「あ、西森、ごめん。
こんな時間に電話かけて・・・」
と謝ると、
「いえ、別に構いませんけど、何か急用ですか?」
と聞いてきたので、
「いや、急用と言うほどでもないけど、その・・・ちょっと声が聞きたくて・・・」
と素直な気持ちを伝えると、西森は、
「えっ!?」
と驚いたような声を出した。

恐らく、電話の向こう側で困ったような表情を見せているのだろう。

それを直接見れないのは残念だけれど、これ以上いじめると嫌われても困るので、
「声を聞きたかったのもあるけど、文化祭、なんかめんどくさいことになって、どうしたものかと・・・」
とぼやいてみた。

声を聞きたかったのも本当のことだが、執事カフェに強制的に参加させられたことについての話もしたかったので、電話をかけたのだ。

すると西森は、
「執事カフェのことですか?
意外。
先生、ああいうイベント好きそうに見えるので、やりたいのかと思っていました」
と返してきた。

うーむ、そうきたか。

西森視点では、おれは『祭り好き』なキャラのように見えているようだ。

確かに嫌いではないが、生徒に混ざって先生がはりきって参加することに対しては躊躇を感じる。

すると西森が、
「クラスの出し物に決まりましたが、私、いまいち『執事カフェ』がどのようなものなのか全く知らないんですけど、一体何をするんですか?」
と質問してきた。

あまりテレビを見たり、マンガとか読んだりしない西森ゆえ、確かに知らなさそうだ。

というおれもそんなに知識は無いので、
「おれもあまり詳しくは知らないけど、執事に扮装した人がお客様に給仕のサービスを行うんじゃないのか?
確か、前にテレビでチラッと見たことがあるけど、お客さんが店に入って来た時に『お帰りなさい、お嬢様』とか執事っぽい語りかけをしていたぞ。
メイドカフェの男性版みたいな感じか?」
と簡単に説明すると、西森は、
「え?」
と、ちょっと不機嫌そうな声を出した。

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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