第9話:風邪をひいた日の話(その11)
文字数 866文字
翌日、西森は学校を休むかと思ったのだが、朝のHRに教室に行くと、普通に出席していた。
教壇から『大丈夫なの?』と心配そうな目を向けていると、西森からは『大丈夫です』というようなアイコンタクトが返ってきたので、おそらく大丈夫なのだろう。
確かに、昨日の夜も微熱があるだけで、そんなにしんどくは無い、みたいな話をしていたから、一晩寝たら元気になったのかもしれない。
それなら、よかった。
HRが終わり、ホッとしながら職員室に帰ろうと廊下に出たとき、
「先生」
と、後ろから西森に呼び止められた。
「に、西森!?」
まさか西森の方から呼び止められると思っていなかったので、思わずびっくりした声を出してしまった。
すると西森は小声で、
「学校なんだから、普通にふるまってください。
ぎこちない態度とっていたら、変に思われるでしょ?
普通にしていたら『先生と生徒が立ち話しているだけ』の光景なんですから」
と言ってきたので、おれも、
「そ、それもそうだな」
と答えたが、やっぱりちょっと緊張してしまう。
なるべくいつものように、
「どうした?何か用事?」
と聞くと、西森は、
「昨日は心配かけて、すみませんでした。
熱も下がって、もう元気になったからご報告しておこうと思って」
と言って、ニコッと笑った。
おれもその笑顔を見て、
「そっか、よかった。
さらに悪化したらどうしようかと思っていたから、ほんとよかった」
と答える。
ここまでは、他の誰かが聞いても、よくある『先生と生徒』の会話だろう。
でも、もう一歩進んだ『恋人同士』の会話に踏み込みたくなって、辺りを見回した。
他の生徒達は1時間目の準備をしているのか、誰も廊下には出ていない。
おれは西森に少し近づき、小声で、
「キスのせいで、熱が上がらなくてよかった」
と言うと、西森はボッと頬を真っ赤に染めた。
「なっ、なに言って・・・!」
そんな西森が可愛くて、ニコニコ笑っていると、西森はちょっと怒った顔をして、おれのことをにらんでいる。
そして『プウッ』と頬を膨らますと、西森は、
「先生こそ、風邪に気を付けて下さいね!」
と言って、教室に戻っていった。
教壇から『大丈夫なの?』と心配そうな目を向けていると、西森からは『大丈夫です』というようなアイコンタクトが返ってきたので、おそらく大丈夫なのだろう。
確かに、昨日の夜も微熱があるだけで、そんなにしんどくは無い、みたいな話をしていたから、一晩寝たら元気になったのかもしれない。
それなら、よかった。
HRが終わり、ホッとしながら職員室に帰ろうと廊下に出たとき、
「先生」
と、後ろから西森に呼び止められた。
「に、西森!?」
まさか西森の方から呼び止められると思っていなかったので、思わずびっくりした声を出してしまった。
すると西森は小声で、
「学校なんだから、普通にふるまってください。
ぎこちない態度とっていたら、変に思われるでしょ?
普通にしていたら『先生と生徒が立ち話しているだけ』の光景なんですから」
と言ってきたので、おれも、
「そ、それもそうだな」
と答えたが、やっぱりちょっと緊張してしまう。
なるべくいつものように、
「どうした?何か用事?」
と聞くと、西森は、
「昨日は心配かけて、すみませんでした。
熱も下がって、もう元気になったからご報告しておこうと思って」
と言って、ニコッと笑った。
おれもその笑顔を見て、
「そっか、よかった。
さらに悪化したらどうしようかと思っていたから、ほんとよかった」
と答える。
ここまでは、他の誰かが聞いても、よくある『先生と生徒』の会話だろう。
でも、もう一歩進んだ『恋人同士』の会話に踏み込みたくなって、辺りを見回した。
他の生徒達は1時間目の準備をしているのか、誰も廊下には出ていない。
おれは西森に少し近づき、小声で、
「キスのせいで、熱が上がらなくてよかった」
と言うと、西森はボッと頬を真っ赤に染めた。
「なっ、なに言って・・・!」
そんな西森が可愛くて、ニコニコ笑っていると、西森はちょっと怒った顔をして、おれのことをにらんでいる。
そして『プウッ』と頬を膨らますと、西森は、
「先生こそ、風邪に気を付けて下さいね!」
と言って、教室に戻っていった。