第30話:トキメキ文化祭
文字数 1,301文字
「み、水野君!?」
あわてて呼び止めたが、水野君と西森は暗闇の『お化け屋敷』に入って行ってしまった。
一人お化け屋敷の前で、呆然と立ち尽くすおれ。
その様子を見ていた生徒達が、
「先生、どうしたの?
あの子達と一緒にお化け屋敷に入りたかったの?」
「はは~ん、そうか。
一人で入るのが怖かったから、置いてきぼりにされてショックを受けているんだ」
と言ってきた。
ちが~う!!
別にお化け屋敷が怖くて、ショックを受けているんじゃないんだ!
西森と水野君が二人きりで入ったから、ショックを受けているんだ!
とも言えず、おれは苦笑いを浮かべ、
「一人で入るのが怖いわけないだろ。
全然怖くないから、とりあえず入って来るよ」
と言って、急いで二人の後を追いかけるべく、お化け屋敷の中に足を踏み入れた。
その時は『怖さ』など全く感じていなかったのだが、扉を開けて中に入ると・・・
「何これ!?
暗っ!
というか、ちょっと怖い!?」
お化け屋敷の中は、想像していた以上に真っ暗で、不気味な雰囲気をかもし出していた。
しかも、通路は一直線じゃなくて曲がりくねった構造となっているため、先に入った西森と水野君の姿は全く見えない。
「ちょっ、どうなっているんだよ!!」
早く二人を追いかけたいのに、そう簡単にはいかないようだ。
でも、躊躇しているヒマもないので、とりあえず矢印の看板に従いつつ前に進む。
お化け屋敷の通路には、その辺で「ちぎってきたであろう」と思われる草が敷き詰められていたため、草の香りが漂っている。
「ええと・・・順路はこっち・・・」
立ち止まって道を確認していたその時、
「こんばんわ!!」
と、急に横からお化けが出てきたので、
「ギャーッ!?」
と大人げなく、叫んでしまった。
その様子を見ていたお化け役の生徒達がぞろぞろと出て来て、
「高山先生じゃん。
めっちゃ驚いてくれて、ありがとう」
「ハハハハ、笑える~」
と言って、笑っている。
くそっ、と思ったが、自分でもカッコ悪いぐらいビックリしたので、苦笑いするしかなかった。
が、今はそれどころじゃない。
先を行く西森と水野君のことが気になる!
おれでさえ、こんなに怖かったんだから、西森はもっと怖がっているかもしれない!
おれは、お化け役の子達に、
「おれより先に、女の子と男の子が来なかった?
忘れ物があるから、急いで届けようと思ったんだけど、だいぶん先に行った?」
と聞いた。
後からよく考えてみると、お化け屋敷に忘れ物を届けるバカなんかいない、と思ったが、生徒達は何も疑わず、
「あ、たぶんいましたよ。
女の子がすごく怖がっていて、男の子がリードしていてかっこよかったカップルが」
と答えた。
間違いない!
きっと西森と水野君が!
「ありがとう!
じゃあ、行ってくる!」
お化けたちにお礼を言い、先を急いだ。
が、やはり照明も暗く、所々お化けが出てくるので、何度も『ギャー!』と叫びながらとなったのだが、井戸のある角を曲がった時、前方に二人の人影を見つけた。
「西森!水野君ー・・・」
と声をかけようとした時だ。
西森の横から、真っ白の衣装を着たお化けが『ばぁ!』と飛び出した。
その瞬間、
「きゃああ!!」
と西森は大きな声を出して、水野君に抱きついた。
あわてて呼び止めたが、水野君と西森は暗闇の『お化け屋敷』に入って行ってしまった。
一人お化け屋敷の前で、呆然と立ち尽くすおれ。
その様子を見ていた生徒達が、
「先生、どうしたの?
あの子達と一緒にお化け屋敷に入りたかったの?」
「はは~ん、そうか。
一人で入るのが怖かったから、置いてきぼりにされてショックを受けているんだ」
と言ってきた。
ちが~う!!
別にお化け屋敷が怖くて、ショックを受けているんじゃないんだ!
西森と水野君が二人きりで入ったから、ショックを受けているんだ!
とも言えず、おれは苦笑いを浮かべ、
「一人で入るのが怖いわけないだろ。
全然怖くないから、とりあえず入って来るよ」
と言って、急いで二人の後を追いかけるべく、お化け屋敷の中に足を踏み入れた。
その時は『怖さ』など全く感じていなかったのだが、扉を開けて中に入ると・・・
「何これ!?
暗っ!
というか、ちょっと怖い!?」
お化け屋敷の中は、想像していた以上に真っ暗で、不気味な雰囲気をかもし出していた。
しかも、通路は一直線じゃなくて曲がりくねった構造となっているため、先に入った西森と水野君の姿は全く見えない。
「ちょっ、どうなっているんだよ!!」
早く二人を追いかけたいのに、そう簡単にはいかないようだ。
でも、躊躇しているヒマもないので、とりあえず矢印の看板に従いつつ前に進む。
お化け屋敷の通路には、その辺で「ちぎってきたであろう」と思われる草が敷き詰められていたため、草の香りが漂っている。
「ええと・・・順路はこっち・・・」
立ち止まって道を確認していたその時、
「こんばんわ!!」
と、急に横からお化けが出てきたので、
「ギャーッ!?」
と大人げなく、叫んでしまった。
その様子を見ていたお化け役の生徒達がぞろぞろと出て来て、
「高山先生じゃん。
めっちゃ驚いてくれて、ありがとう」
「ハハハハ、笑える~」
と言って、笑っている。
くそっ、と思ったが、自分でもカッコ悪いぐらいビックリしたので、苦笑いするしかなかった。
が、今はそれどころじゃない。
先を行く西森と水野君のことが気になる!
おれでさえ、こんなに怖かったんだから、西森はもっと怖がっているかもしれない!
おれは、お化け役の子達に、
「おれより先に、女の子と男の子が来なかった?
忘れ物があるから、急いで届けようと思ったんだけど、だいぶん先に行った?」
と聞いた。
後からよく考えてみると、お化け屋敷に忘れ物を届けるバカなんかいない、と思ったが、生徒達は何も疑わず、
「あ、たぶんいましたよ。
女の子がすごく怖がっていて、男の子がリードしていてかっこよかったカップルが」
と答えた。
間違いない!
きっと西森と水野君が!
「ありがとう!
じゃあ、行ってくる!」
お化けたちにお礼を言い、先を急いだ。
が、やはり照明も暗く、所々お化けが出てくるので、何度も『ギャー!』と叫びながらとなったのだが、井戸のある角を曲がった時、前方に二人の人影を見つけた。
「西森!水野君ー・・・」
と声をかけようとした時だ。
西森の横から、真っ白の衣装を着たお化けが『ばぁ!』と飛び出した。
その瞬間、
「きゃああ!!」
と西森は大きな声を出して、水野君に抱きついた。