第7話:二人の夏休み(その30)

文字数 786文字

西森と二人で宿泊!?

まさかの展開に、思わず西森の顔を見てしまった。

西森は、ちょっと真っ赤になって固まっている。

え?
これはどうなの?

もちろん部屋は別々にしてもらうけれど、二人で宿に泊まるってどうなの?

おれは泊ってもOKだけど、西森は・・・

と思っていると、西森が、
「先生、寒いです・・・」
と言って、腕をさすって震えていた。

そう言われてみれば、確かに寒い。

原因は、ガンガンに効いている冷房だと気づいた。

雨に濡れた衣服のままで冷房の冷たい風に当たると、普段よりも冷たさが倍増するのだ。

このままでは風邪を引いてしまう、と思ったおれは西森に、
「泊まる?」
と聞いた。

軽く「泊まる?」と聞いてみたけれど、心臓はバクバク大きな音を鳴らしている。

だって、西森と二人きりで泊まる状況が、こんなに早く訪れるなんて思ってもいなかったから、どうしていいか分からないし!

初めてのお泊りは、両思いになって、西森が卒業してからだと勝手に想像していたので、心の準備がまだできていない!

と、ちょっとドキドキしてみたけれど、部屋は別々にしてもらうので、何もないけどさ!

でもなんか緊張しちゃうじゃん!、とか考えていると西森が、
「私は泊っても大丈夫ですけど、先生はどうですか?」
と言ってきた。

まさかの西森からの「OK」の返事に、思わず、
「え?
泊まっても・・・」
と、しどろもどろになっていると、会話を聞いていた宿の人が、
「それじゃ、お部屋ご用意いたしますね。
ご一緒のお部屋でよろしいですね?」
とニコニコしながら言った。

はい?
一緒の部屋を用意するって言った?

部屋の準備をしに行こうとした宿の人を呼び止め、
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!
一緒の部屋じゃなくて、別々の部屋でお願いします!」
と叫ぶと、女の人はクスッと笑って、
「ごめんなさい、残り1室しか空いていないんです。
でも、カップルさんですし、大丈夫ですよね?」
と言った。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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