第8話:先生のお誕生日(その40)

文字数 725文字

「ん・・・」

触れた唇の部分から、また全身に熱くて甘い感覚が広がっていく。

キスをしながら、先生が強く抱きしめてくるので、さらに体が熱くなる。

唇をふさがれているので、うまく息ができない。

ちょっと苦しいけど、でも、好きな人に触れられている幸せの方が大きくて、私はそのまま身を任せた。

ふいに先生の唇が離れ、お互いの顔を見つめ合う。

私の頬も真っ赤だけど、先生の頬も真っ赤だ。

私は先生の頬に手を触れ、
「ずっと・・・キスしてくれないから、私のこと、そんなに好きじゃないのかと思ってました・・・」
と言うと、先生は顔を横に振り、
「その逆。
好きだから、夏菜に嫌われたくなくて、キスできなかった」
と答える。

「嫌われなくなくて・・・?」

どういう意味か分からず聞いてみると、先生は、
「夏菜が、無理やりおれと付き合ってくれていると思っていたから、そんな状態でキスなんかしたら、絶対嫌われるじゃん。
だから、ちゃんと両想いになるまで、待ってた」
と言う。

そうだったんだ・・・。
先生が今まで、キスしてこなかったのは、私とちゃんと両想いになってない、と思ってたからなんだ・・・。

先生は私の瞳を見つめ、
「でも、さっき、夏菜の方からキスしてくれたから、もう遠慮はいらないな、と思って」
と言って、また唇を寄せてくる。

私はちょっと恥ずかしくなり、
「ちょ、ちょっとは遠慮して下さい!
さっきから何回キスしてくるんですか?」
と抵抗するそぶりを見せてみたが、先生はそんなことお構いなしのようで、
「今までガマンしてきた分、全部」
と言って、私を床に押し倒した。

私は真っ赤になりながら、
「す・・・少しはガマンして下さい・・・」
とお願いすると、先生は、
「その約束はできません」
と言って、私の唇に優しく唇を重ねた。
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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