第19話:二人きりの夜(その19)

文字数 359文字

雨は止んだのだろうか。

外は静かで雨音は聞こえてこない。

聞こえてくるのは、抱き合ってドキドキしているせいか、いつもより早くなった二人の呼吸の音だけだ。

誰にも邪魔されることなく、おれは「幸せ」の余韻をかみしめていた。

「先生・・・」

ふと夏菜が声を出した。

「ん?」

そっと顔をのぞきこむ。

すると夏菜は、
「約束して下さい」
と言った。

約束?
何の約束だろう?

不思議に思っていると、夏菜はおれの頬にそっと手を触れ、
「これから女の子達に『彼女いますか?』って聞かれたら、『彼女いる』って答えてください」
とお願いしてきた。

「・・・・・・!!」

そのあまりにも「可愛すぎるお願い」に悶え死にそうになった。

でも、こんな幸せの絶頂で死ぬわけにはいかない。

おれはギュッと夏菜を再び強く抱きしめ、
「もちろん。
大声で『彼女いる』って答えるよ」
と約束した。

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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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