第5話:教育実習生にメラメラ(その5)

文字数 781文字

「な、なんでストラップを外さないといけないんだ!?」

私から「ストラップを外すように」と言われた先生は、ビックリした顔で、こっちを見ている。

そんな大したお願いをしたわけでもないのに、なんでそんなにビックリするんだろう?

先生の反応に、逆にこっちが驚いてしまった。

「ええと・・・
その、クラスの女子達が言っていたんです。」

「何を?」

「先生のスマホに見慣れないストラップが付いているから、『彼女ができたんじゃないか』って・・・」

ストラップ1つで、クラスの女子達に疑いの目を向けられていることが気の毒で、私は忠告をしたわけなのだが、先生は、
「別にいいじゃん」
と言った。

「は?」

あっけらかんとした態度の先生に、私は一瞬言葉を失った。

別にいいじゃん?

いやいや、別によくないから、こうやって忠告しているのに、その態度は何!?

「何言ってるんですか!?
女の子達に『彼女がいるかも』って疑われているんですよ!
そこはちゃんと否定した方が良いと思いますけど!」

私がそう言うと、先生は急に歩き出し、教室のドアを閉め「ガチャッ」と鍵をかけた。

「せ・・・先生?」

急になんで鍵を閉めたのか全く理由が分からない。

しかも、さらには窓のカーテンもシャッシャッと全部閉めていく。

私はその行動を止めることもできず、ただオロオロと見ているだけだ。

先生が最後の窓のカーテンをサッと閉めた。

これで理科室は完全に先生と私だけの密室になってしまった。

外は晴天で良いお天気なのに、カーテンを閉め切った理科室はちょっと薄暗くて、急に心臓がドキドキ高鳴り出す。

カーテンを閉め終わった先生は、ちょっと離れたところからこっちに振り返り、
「他の人に聞かれたくない話をしたかったから鍵を閉めました。」
と言った。

いやいや、
「閉めました」じゃないでしょ!?

学校でこんな危険なこと、やらないでください!

誰かに見られたら、本当にヤバいのに!
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登場人物紹介

高山流星

地学担当教師

西森夏菜

学年一の秀才。真面目な優等生。

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